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人気恋愛小説家の意外な私生活

ジャック・ニコルソンを“奇行”に走らせる強迫性障害

  • 斉藤 さゆり,日本精神科看護技術協会(監修)

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2010年12月27日(月)

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 ストレスなどからココロを病むビジネスパーソンが増加し、社会問題化しています。メディアでも大きく報じられ、小説や映画などでも描かれるようになりました。

 このコラムでは、ココロの病を扱った映画を題材にして、日本精神科看護技術協会に所属し、日々患者に接している精神科看護師の解説を交えながら、誤解されやすいココロの病の本当の症状や対処法などを明らかにしていきます。

 今回に紹介するのは、『恋愛小説家』というアメリカのラブコメディー。この作品の中で、どのようなココロの病が描かれているのか。名優たちが演じるシーンを通して具体的な病状を正確に把握し、理解を深めていきましょう。

 米ニューヨークのマンハッタン。アパートに1人で暮らすメルヴィン・ユドールは、人気の恋愛小説家。しかし彼の実像は、職業から浮かぶイメージとはまるで異なる。

 中年を過ぎてもいまだ独身で、相手かまわず辛らつな嫌味と皮肉を浴びせる毒舌家。アパートの隣人たちから総スカンを食らって、愛や温もりとは全く無縁の人生を送っている。

 その彼は帰宅すると、ドアロックのつまみをカチャカチャと5回ひねって鍵をかける。部屋の照明をつける際も、スイッチをパチパチパチと同じく5回。そのままバスルームに直行するや、棚から取り出した新しいせっけんを使って熱湯で手を洗い、おろしたてのせっけんは惜しげもなくゴミ箱へ。しかも、新品のせっけんを使っては捨てる手洗いは、一度だけでは終わらない──。

 これは、米国で1997年に公開された映画『恋愛小説家』の冒頭に登場するシーンである。前回にも解説をお願いした精神看護専門看護師の甲本亜佐子さん(仮名、日本精神科看護技術協会所属)によると、ジャック・ニコルソンが演じる主人公メルヴィンの奇異な行為は「強迫性障害」の典型的な症状だという。

 この作品自体は中年の不器用な恋愛を描いた大人向けのロマンティックコメディーなのだが、さまざまな場面で強迫性障害の特徴が描かれている。

拭い切れない不安から毒舌を吐き続け、嫌われ者に

 自分の意に反して絶えず頭から離れない考えやイメージを「強迫観念」と呼ぶ。その強迫観念から生じる不安を打ち消すために延々と続けたり繰り返したりする行動や動作が「強迫行為」。不安障害の一種である強迫性障害は、強迫観念と強迫行為の両方が症状として現れる精神疾患だ。

 例えば、手が汚れる恐怖からドアノブや電車の吊り革に触ることができなかったり、火事が心配でガスの元栓を何度も確認したりする。メルヴィンのように熱湯で洗うかどうかは別にして、手洗いを延々と続けるという行為も、強迫性障害の患者によく見られる症状らしい。

[甲本看護師の解説]

 強迫観念の代表的なものに、汚れや汚染を異常に恐れる「不潔恐怖」があります。メルヴィンにも不潔恐怖があって、そのためにせっけんを取り替えながら何度も手を洗わずにいられないんです。

 彼はドアに施錠する前に鍵を5回もかけたり外したりしますが、これは、不安を拭い去るための「儀式行為」と「数字へのこだわり」という2つの強迫行為が合併した症状ではないでしょうか。強迫性障害の患者さんはこのように自分で決めた特定のルールを守ることで、安心を得ようとします。

 ただ、本人も「こんなことは無意味でバカバカしい」と分かっています。にもかかわらず、その行為をやめられないのが、強迫性障害の特徴なんです。

 メルヴィンは毎日、決まったカフェにランチに通い、同じテーブルに着く。そしていつも同じ料理を、必ずキャロル(ヘレン・ハント)というウエイトレスに注文。使い捨てのプラスチックのナイフとフォークをナイロン袋に入れて持参し、それを自らテーブルにセットする。

「スクリーンの名優たちに学ぶ ココロの病のウソ・ホント」のバックナンバー

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