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子供を失った夫婦に訪れたさらなる悲劇

リリー・フランキーと木村多江が乗り越えたうつ病という試練

  • 斉藤 さゆり,日本精神科看護技術協会(監修)

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2011年1月31日(月)

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 ストレスなどからココロを病むビジネスパーソンが増加し、社会問題化しています。メディアでも大きく報じられ、小説や映画などでも描かれるようになりました。

 このコラムでは、ココロの病を扱った映画を題材にして、日本精神科看護技術協会に所属し、日々患者に接している精神科看護師の解説を交えながら、誤解されやすいココロの病の本当の症状や対処法などを明らかにしていきます。

 今回に紹介するのは、悲劇を乗り越えてきずなを深めていく一組の夫婦の軌跡を描いた日本映画『ぐるりのこと。』。この作品の中で、どのようなココロの病が描かれているのか。名優たちのリアルな演技を通して具体的な病状を正確に把握し、理解を深めていきましょう。

 1993年夏の東京。法廷画家として働き始めたカナオと小さな出版社に勤める翔子は、美術大学の同級生で共に30歳。長い交際期間を経た末、翔子が妊娠したのを機に籍を入れたばかりだ。

 「あっ、動いた!」

 家路の途中、翔子が目立ち始めたお腹に手をやりながらカナオの隣で小さく声を上げる。彼女の顔には、母になる喜びと希望に満ちた笑みが浮かんでいる。

 ところが半年後、夫婦の寝室には位牌と飴玉が。生まれたばかりの子供を突然に失った2人。その悲劇以降、翔子は次第に心のバランスを崩していく――。

 これは、2008年に公開された日本映画『ぐるりのこと。』の前半にある場面だ。うつ病にかかってしまった妻と、彼女を不器用ながら支え続ける夫の8年間にわたる道のりを、自身もうつ病経験者である橋口亮輔監督が丁寧に描いたこの作品。互いに苦悩しながらも一緒に困難を乗り越えていくこの夫婦を、映画初主演のリリー・フランキーと演技派女優の木村多江が好演している。

生真面目、実直、几帳面な人は要注意

 「憂うつ」「気が滅入る」「気分が落ち込む」といった精神状態を「抑うつ気分」と言う。この抑うつ気分が、うつ病の代表的な症状だ。

 ただし、憂うつ感や気持ちの落ち込みは、誰もが日常的に経験すること。前回に続いて解説を担当してもらうさいとうクリニック精神科看護師の松井洋子さんは、「抑うつ気分が2週間以上続いているようなら、それはうつ病のサインと考えた方がいい」と話す。

 映画では翔子がうつ病であることは明言されていないが、果たしてどうなのだろう。

 子供を失った後、家だけでなく職場でもボーっとしていることが多く、後輩の編集者とも意思の疎通がうまく図れない。社運をかけた大事な新刊のサイン会では、小さなハプニングで気持ちを乱し、突然泣き出してしまう。

[松井看護師の解説]

 翔子は表情が暗く、見るからに覇気がありません。いきなり泣き出すのは、感情をコントロールできなくなっているからかもしれないですね。彼女が抑うつ気分に陥っていることは明らかではないでしょうか。しかも、それが長い期間続いています。精神科を受診した場合、うつ病と診断される可能性は高いと思います。

 うつ病になると、抑うつ気分のほかにも、感情や思考の面でさまざまな精神症状が表れます。例えば、意欲や集中力の低下、マイナス思考なども特徴的な症状です。漠然とした不安や悲しみも続きます。

 このような心の状態は、態度や行動にも影響を及ぼします。口数が少なくなる、ぼんやりしている、反応が遅いといった様子が一例ですが、これらは周囲の人にも気づくサインでしょうね。

 うつ病には不眠や食欲減退、疲労感、頭痛などの身体症状も伴います。本人が身体の病気と勘違いして内科に通っていたために、うつ病の治療が遅れるケースも少なくないんです。

コメント2件コメント/レビュー

この記事では家庭内での話を取り上げていますが深刻なのは働く人の間で起きている状況だと思います。自殺件数が10年以上連続で3万人を越したり、精神疾患による労災審判や民事損害賠償訴訟の件数が増え続けてやっと世間でも認知される様になった感がありますが、残念ながら世間の喧伝はその殆どが発症してからの対症療法ばかりで、発症のメカニズムはかなり明らかにされてきたものの発症に追い込まれる環境の追求と対策がいまだに進んでいないのが現実です。企業内では圧倒的多数、特に管理職・経営者の人が「特殊な人がなる病気」「気の持ちよう」と間違った認識を根強く持っています。故に、これからも追い込まれる人は減らないでしょう。行政(政府・厚生労働省)・司法(警察・労働局等取締機関)がもっと踏み込んで環境を正さないとこの悲劇は繰り返されるのだと思います。(2011/01/31)

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この記事では家庭内での話を取り上げていますが深刻なのは働く人の間で起きている状況だと思います。自殺件数が10年以上連続で3万人を越したり、精神疾患による労災審判や民事損害賠償訴訟の件数が増え続けてやっと世間でも認知される様になった感がありますが、残念ながら世間の喧伝はその殆どが発症してからの対症療法ばかりで、発症のメカニズムはかなり明らかにされてきたものの発症に追い込まれる環境の追求と対策がいまだに進んでいないのが現実です。企業内では圧倒的多数、特に管理職・経営者の人が「特殊な人がなる病気」「気の持ちよう」と間違った認識を根強く持っています。故に、これからも追い込まれる人は減らないでしょう。行政(政府・厚生労働省)・司法(警察・労働局等取締機関)がもっと踏み込んで環境を正さないとこの悲劇は繰り返されるのだと思います。(2011/01/31)

うつに対処するためにも、うつを予防するためにも非常に参考になりました。(2011/01/31)

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