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『人類の星の時間』、その時世界史は動いた!
~ビサンチン陥落の原因は門の閉め忘れ!?

  • 浅沼 ヒロシ

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2011年2月7日(月)

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人類の星の時間』著:シュテファン・ツヴァイク、訳:片山敏彦、みすず書房、2625円

 『人類の星の時間』という格調高い題名の歴史短編集は、オーストリアの作家シュテファン・ツヴァイクによって60年以上前に書かれた。格調が高いと敬遠する人もいるかもしれないが、実はNHKテレビの歴史番組を想像させる親しみやすい内容だ。もっと言ってしまえば、本書は、2009年3月までNHK総合テレビで放送していた『その時歴史が動いた』のヨーロッパ版なのである。

 テレビ番組の方を知らない人のために簡単に説明すると、『その時歴史が動いた』は歴史のターニングポイントに焦点を当て、「その時」に到る人々の行動や心理を解説する番組だった。再現ビデオや専門家の解説がクライマックスに達したとき、司会の松平アナウンサーが、「そしてその時……」という決めゼリフにつづき、ターニングポイントとなった年月日をゆっくりと読みあげる。

 その日、その時こそが歴史を大きく変える転換点だった、という感慨がさざ波のように視聴者にひろがっていく。

一人の凡人の判断が世界史を変えた

 『人類の星の時間』も同じである。

 ヨーロッパの歴史を大きく変えた12の結節点をツヴァイクが選定し、その日に到る人間ドラマを描いていく。『その時歴史が動いた』と同じ着想で書かれた歴史読み物と言っていい。

 もちろん、『人類の星の時間』の方が先に書かれているから、着想が似ているように見えるのは、『その時歴史が動いた』の制作者の中にひょっとすると『人類の星の時間』の読者がいたからなのかもしれない。

 12の「その時」のなかで日本にもよく知られている題材は、ナポレオンの最後の戦いを題材にした「ウォーターローの世界的瞬間」だろう(「ウォーターロー」は現在「ワーテルロー」と表記されるが、ここでは本書が翻訳された1961年当時の表記に従う。以下、「プロシャ」等も同様)。

 1815年、エルバ島から脱出したナポレオンがプロシャ軍、イギリス軍、オーストリア軍と交えた最後の戦闘が題材である。

 ナポレオン軍は6月16日にプロシャ軍に遭遇し、撃退する。いったん戦場を離れたプロシャ軍がイギリス軍に合流しないよう、ナポレオンは追撃部隊の出動を命じた。6月17日に別働隊の指揮権をゆだねられたのは、グルシー元帥である。グルシー元帥は〈善良で、誠実で、しっかりしており信頼のおける騎兵隊長であり、ときどき功績を立てたこともあるが、しかし騎兵隊長以上の存在ではなかった〉

 グルシーが与えられた任務は、ナポレオンがイギリス軍を攻撃するあいだに、全軍の1/3を率いてプロシャ軍を追撃することだった。自発的に行動することに慣れていない彼は、同時に主隊との連絡を常に保つことも命令された。

 運命の6月18日、ウェリントン率いるイギリス軍とナポレオン軍はウォーターローで激突した。何度もナポレオンは突撃を命ずるが、イギリス軍は持ちこたえ、膠着状態に陥る。

〈両軍ともに力つきて、両軍の指揮官らは不安であった。両軍ともにはっきり判っていることは、援軍が早く到着したほうが勝つということだった。ウェリントンはブリュッヘアを、ナポレオンはグルシーを待ち兼ねた〉

 しかし、待ちわびるグルシー元帥は、独自の判断でウォーターローに引きかえすような度量を持っていなかった。〈グルシーは一瞬間だけ考えた。そしてこの一瞬間が彼自身の運命と、ナポレオンの運命とそして世界の運命とに形を取らせることになった〉

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