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異例のヒット『思想地図β』編集長、東浩紀氏に聞く その1

  • 斎藤 哲也

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2011年3月4日(金)

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 思想家で小説家である東浩紀さんが編集長として2010年末に創刊した『思想地図β』が売れている。発売20日で2万部を超え、勢いは衰えを見せていない。思想系の雑誌としては「事件」といっていいほどの売れ行きだ。
 これだけでも驚異的なのだが、『思想地図β』は、思想誌としての特集内容、さらにその売り方や売れ方まで「業界初」と言っていい試みにあふれている。
 東さんに『思想地図β』が生まれ、異例のヒットを飛ばすまでの経緯を聞いた。(聞き手は、柳瀬博一)

―― 『思想地図β』が売れていますが、とりわけ興味深いのは、思想家・小説家の東さんが、自分で「コンテクチュアズ」という会社を立ち上げて雑誌を創刊したということで、「経営する思想家」なんて前代未聞かもしれません。そういった東さんの活動は、従来メディアが転換期を迎えているこの時代に、コンテンツビジネスの新しい可能性を考えさせる象徴的な現象だったんじゃないか、そんなふうに思ってぜひ話を聞きたいと思いました。

 お聞きしたい話は山ほどありますが、おそらく日経ビジネスオンラインの読者のなかには、『思想地図β』を知らない読者もいますので、簡単にこれまでのビジネスストーリーを振り返りながら、徐々にディーブな話を聞いていこうと思います。

東浩紀(あずま・ひろき)
批評家、作家、早稲田大学教授。
1971年東京生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。専攻は哲学および表象文化論。著書に『存在論的、郵便的』(第21回サントリー学芸賞受賞)、『動物化するポストモダン』、『波状言論S改』(編著)、『東京から考える』ほか

 よろしくお願いします。

―― まず、『思想地図β』創刊以前に、東さんは社会学者の北田暁大さんと共同編集の形でNHK出版から『思想地図』を5号出しました。この『思想地図』もずいぶん売れましたよね。

 おそらく一番売れている『vol.1』が累計で1万8500部。その次に売れているのが『Vol.4』で、1万5500部です。

―― 既に『思想地図β』はわずか3週間足らずでその数を越えようとしているわけですね。でも『思想地図』だって、他の思想誌と比べれば圧倒的に売れた。

 それはそのとおりですね。

―― NHK出版から『思想地図』が出たのはどういう経緯だったんですか?

 2007年に、僕と北田さんとで『東京から考える』という本を出したんです。これも3万部くらいで、NHKブックスの中ではかなり売れた本でした。同時に、担当の大場さんという編集者も思想が好きな人だったこともあって、じゃあ僕と北田さんで何かやりましょうということになったんです。

『動物化するポストモダン』が育てた新しい思想の読者

―― 失礼な言い方かもしれませんが、『vol.1』が出た時点では、売れ行きは厳しいんじゃないかと思ったんですよ。若手の論客をそろえているとはいえ、思想を束ねて誰が読むんだろうと。というのも、僕が以前単行本の編集をしていたときに、人をたくさん寄せ集めちゃうと売れないという経験則があった。でも結果は「異例」といっていいほど売れた。あれは誰が買っていたんでしょうか。

 『思想地図』の1期と『β』は客層はかなり変わっていると思いますのでそのうえで答えますが、1期の方は、今までの現代思想の延長線上で、アップデートした感じになっていると思います。国家論の萱野稔人さんとか、レーニン論の白井聡さんとか、当時はまだ本を1冊ぐらいしか出していない人も意図的に集めたので、業界的にはけっこう注目されました。

―― でも、内容を見るとマンガやアニメなどのポップカルチャーを扱った論文や座談もかなり入ってますよね。

 ええ。僕は『思想地図』をやっているときに、同時に講談社で「ゼロアカ道場」という新人批評家育成のプログラムもやっていました。そこに集まる若い人や自分のブログの読者を見ていて、若くポップカルチャーにも思想にも興味がある人間はかなりの数いると実感していました。岩波書店さんや青土社さんや以文社さんのようないわゆる「思想誌」を作っている編集者にはまったく見えてなかったと思いますが、そこにはほとんど手つかずの鉱脈があり、僕はこれをがっとつかめるという感じがしていたわけです。

―― 2001年に出た『動物化するポストモダン』も、オタク文化を素材にしていますが、あのころから新しい読者層が見えていた?

 というより、『動物化するポストモダン』が生みだした読者層ということかもしれません。もう10年前の本なので。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長