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魂を売って何が悪い!『うさぎとマツコの往復書簡』 ~「大人の自分探し」のための過激なガイド本

  • 赤木 智弘

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2011年2月28日(月)

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うさぎとマツコの往復書簡』中村うさぎ、マツコ・デラックス著、毎日新聞社、1260円

 ライターからハイティーン向けのライトノベル作家を経て、ブランド物を買いあさり、ホスト遊びに走り、整形を繰り返す。そうしたエゴ丸出しの破廉恥な行為をメディアに売り続けてきた怪物「中村うさぎ」と、見た目のインパクトは抜群、やたらでかい女装癖のトランスジェンダーとしてメディアを撹乱し、権威や良識を吹き飛ばす、テレビの怪物「マツコ・デラックス」。この2体の怪物の往復書簡とは尋常ではない。

 私の読書前のイメージとして、中村うさぎといえば、「女らしさ」という社会から押し付けられる女性像に対し、ブランド品や整形といった「女らしさ」のアイテムを過剰に取り入れることによって、逆説的にそれを批判してきた存在というイメージがあった。

 一方、マツコ・デラックスといえば、テレビのニュースバラエティーなどで、コメンテーターたちが、いかにも体勢におもねった安易な発言を繰り返す中で、太めで、オカマという存在感を活かして「どうせマイノリティーなんだから、このくらい言わせろ」とばかりに、辛辣な発言をするコメンテーターというイメージがあった。

 この本は、そんな彼女たちが、人間関係のしがらみの中で縮こまる人々を見下しながら社会を切りまくる爽快な本に違いないと思いきや、その予想はみごとに裏切られることになる。

 この往復書簡で見られる、等身大の彼女たちは、決して我々の想像をはるかに超えた怪物などではなかった。

自身のなかの差別と向き合う

 常に自らのアイデンティティーを喪失しそうになり、あてどもない不安と、メディアに自らをさらし続ける痛みに耐えながら、それでも怪物であることを止めることができない、等身大の「人間」であった。

 中村は若い頃には、自分が幸せになるために諦めることを知らず、いつもキリキリして、本当に苦しく、平穏な老後を迎えるのが理想だったと言う。しかし50歳を過ぎ、肉欲も物欲も消失し、夫や仲間に囲まれて平穏な老境を迎えた今は、それがとても退屈で性に合わないと語る。

 それに対し、幸せを求め続けている30代後半のマツコは、彼女自身は結婚や出産という女性への「呪縛」からは解放されているが、その一方で、自分のためだけに生きるという状況に対するモチベーションが維持できないと言う。

 詳細に論じられているのではないので、この本全体で語られるマツコの考え方から予測するしかないが、マツコにとっての幸せのイメージは、やはり恋愛で男性のために尽くしたり、子供を産んで子供に尽くすという、他者のために生きる「母性」のイメージが強いのだろう。

 そこから2人の往復書簡は、母や子供、そして「女としての幸せ」という話になっていく。

 社会が提示する女としての単純な幸せは、結婚して子供を産んで、夫を陰ながら支えて仲むつまじく暮らすというイメージだが、彼女たちはそうしたパブリックイメージを実現することを諦めながら、別の代替策を探って行く。

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