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「金を持った人に読ませる努力をしなければ、どんなにありがたい言論も続くわけがない」

異例のヒット『思想地図β』編集長、東浩紀氏に聞く その2

  • 斎藤 哲也

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2011年3月11日(金)

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 思想家で小説家である東浩紀さんが編集長として2010年末に創刊した『思想地図β』が売れている。発売20日で2万部を超え、勢いは衰えを見せていない。思想系の雑誌としては「事件」といっていいほどの売れ行きだ。
 これだけでも驚異的なのだが、『思想地図β』は、思想誌としての特集内容、さらにその売り方や売れ方まで「業界初」と言っていい試みにあふれている。
 前回に続く2回目のインタビューでは、東さんに『思想地図β』のテーマをなぜ「ショッピングモール」にしたのか、その理由を聞いた。(聞き手は、柳瀬博一)

その1から読む)

―― 『思想地図β』の創刊号の特集は「ショッピングモール」でした。従来の思想雑誌では考えられない特集タイトルですが、これはすんなりと決まったんですか?

 ええ。最初はショッピングモールしかないと思っていましたよ。言論業界では、ショッピングモールというと、「ファスト風土化」の象徴として評判が悪いんですね。日本の美しい街並みや商店街を滅ぼした戦犯にされてしまっている。

ファスト風土への違和感

―― 非常に無味乾燥で、画一的な風景のシンボルとして論じられてきましたね。

 『東京から考える』を出した時から、僕はそのことに違和感を持っていました。これは特集の監修をしてくれた速水健朗さんも言っていますけど、ショッピングモール=荒廃した郊外というのは単純化しすぎで、ショッピングモールにはむしろ都市文化の問題の側面がある。『思想地図β』で取り上げたように、六本木ヒルズとかラゾーナ川崎とか、都市生活者がインフラとしてショッピングモールを利用している。

 それと同時にショッピングモールは僕自身の生活に直結する問題でもあった。そもそも『東京から考える』を作ったのは、子供が生まれて引っ越さないといけないので東京について考えてみた、ということが動機の一つにあります。ぶっちゃけていえば、僕はどこに住めばいいのか、と。

―― 非常に切実な問題意識だったと?

 陳腐な言葉で言えば、生活に根差した思想を作りたいと思うようになったんです。『東京から考える』は、ガチな現代思想好きだけじゃなく、建築畑や美術畑の人たちも関心を持ってくれて、議論の広がる可能性を感じていた。だから、『東京から考える』の議論をバージョンアップさせるという意味でも、ショッピングモールは、絶対に入れなくてはと思っていました。

―― なるほど。東さんの小説『クォンタム・ファミリーズ』でも、ショッピングモールは重要な舞台として登場していますし、2010年、宮台真司さんとの対談本『父として考える』でもショッピングモールについて触れていました。あれはすごく面白かった。どこが面白いかというと、三浦展さんのような文脈で過ごしやすい街というのは吉祥寺や西荻になる。その感覚は、西荻に友達や知人が大勢いたので私もよく分かるんです。西荻には、ちょっと隠居した文学者的な人が住む雰囲気がある。古い飲み屋もいっぱいありますし。

 そうですね。

―― ある種の文学的な思想においては、吉祥寺や西荻といった中央線的な感じが街の理想としてあるわけですよね。実際、東さんも子供ができる前には中央線は非常に過ごしやすいと本の中で語っていました。面白いのはそこからで、子供ができたことで東さんは西荻の生活をすごく不便に感じ、さまざまなショッピング・モール、あるいは青葉台やたまプラーザといった東急沿線が備えているバリアフリーやユニバーサルアクセスを評価するようになっていきます。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長