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「こんなところ客は来ないと言われたけど、ちゃんと購買層がいるのが確認できたんです」

異例のヒット『思想地図β』編集長、東浩紀氏に聞く その3

  • 斎藤 哲也

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2011年3月18日(金)

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 思想家で小説家である東浩紀さんが編集長として2010年末に創刊した『思想地図β』が売れている。発売20日で2万部を超え、勢いは衰えを見せていない。思想系の雑誌としては「事件」といっていいほどの売れ行きだ。
 これだけでも驚異的なのだが、『思想地図β』は、思想誌としての特集内容、さらにその売り方や売れ方まで「業界初」と言っていい試みにあふれている。
 インタビュー3回目の最終回では、「あり得ない売れ方をした」『思想地図β』の売り方について具体的に聞いた。(聞き手は、柳瀬博一)

その1から読む)
その2から読む)

―― 本や雑誌の場合、いざ作ってもその後の販路をどうするかという問題が必ず出てきます。端的にいえば、取次ぎを通すかどうかという問題もあります。『思想地図β』を売るにあたって、そのあたりはどういう方針をとったんでしょう?

『思想地図β』の直販戦略

 販売については、編集兼営業の斎数賢一郎さんが頑張ってくれているということに尽きます(笑)。舞台裏を明かすと、とにかく2010年は本を作ることにかかりっきりで、なかなか書店のケアまでできなかったんです。

―― そうだったんですか。実際に今、『思想地図β』を取り扱っているのは何店舗ぐらいで?

 200店舗超ぐらいです(2月23日現在)。最初は都内50店舗ぐらいに置ければ十分と思っていて、主要な10店舗ほどは先行で話をしていました。少ないように思えるかもしれませんが、NHK出版の『思想地図』の店舗別の売り上げを見ると、新宿紀伊國屋、池袋ジュンク堂、青山ブックセンターなどの大型書店でどかっと売れて、ほかは売れていない。要するに書店ごとの傾斜がすごいですね。それを見て、ああ、もうこれは取次を通さずに直販でいけると。

―― ピンポイントでそこだけで大量に売れると。

 あと読者の側のリテラシーが高いので、調べて買いに行けるわけです。『思想地図β』は何となく立ち寄った本屋で買う本じゃない。これを買いたくて探す本なので、そういう本は直販でも大丈夫だと思うんです。あと、『β』にとってはアマゾンが最大の販売チャネルですね。2万部のうちの7000部がアマゾンですから。

―― それはすごい。アマゾンのチャネルも直接交渉したんですか?

 アマゾンには誰でも自費出版物を販売できる「e託販売サービス」というのがあったので、普通にそれを使いました。だからアマゾンの担当者とやりとりするわけじゃなくて、自動発注です。

―― 本当にゼロからのスタートですね。アマゾンの最初の冊数はどのくらいでしたか?

 『思想地図β』の場合、最初に予約を受け付けたんです。1週間ぐらい見て、予約の注文数に応じて自動的に数が出てくるんですけど、その段階ですでに1200部ぐらいでしたね。いま7000部ぐらいなので、おそらくアマゾンだけで1万部売れるんじゃないかと。

ツイッター・マーケティングの可能性

―― 思想雑誌がアマゾンで1万部売れるというのは「事件」ですよ。そうやってびっくりするほど売れたのは、内容もさることながら、東さん自身のツイッターでの宣伝力も絶対にあると思うんです。ある意味でツイッター・マーケティングの超成功事例なわけですが、東さんは、ツイッターによるマーケティングをどのように見ていますか?

 ツイッターは、組織としての宣伝にはあまり向いていないんじゃないかと思います。孫さんや猪瀬直樹さんが典型ですが、トップの個人が全責任を持ってつぶやかないとなかなか使えないと思いますね。

―― そこがポイントですね。

 だから使う人も結構覚悟が必要で、たとえば『思想地図β』であれば、僕のところに全部問い合わせがきちゃう。「『思想地図β』という言葉を入れて文句をつぶやけば絶対に発見してくれるだろう」という前提でユーザーさんが動いているから、こちらもこまめにツイッター上でクレームを発見して対応しなきゃいけない。そこまでまめにトップの人間ができるんだったら、すごく使えると思います。けれどそれを担当者に分散させてやっていたら、あまり使えないでしょうね。

―― なるほど。やっぱり個人の顔が徹底的に出てきて、その人が最後まできっちり面倒見ないといけない?

 ええ。でもそこまでできるなら、いままでとまったく違うお客さんとのコミュニケーションができる。例えば『思想地図β』の第1刷というのは、百数十カ所という、ありえない量の誤植を出してしまった。これは普通に考えればとんでもない話です。一歩間違えたら「カネ返せ」となってもおかしくない。実際、たいへんに申しわけなく思っている。でも結局大きなトラブルも起きずに済んでいるのは、僕がツイッターでお詫びも含めて、いろいろつぶやき続けているからだと思うんです。

 つまり、ツイッターである種の親密性をつくることによって、本来だったら責められてもしようがない事態をしのげるというか、「とりあえず出ないよりはいいじゃないか」みたいな空気は作れる。そういうことのためにはツイッターはすごく役立ちます。

―― まさに『β』だよと(笑)。

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