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初対面で引かれ合ったカップルを阻む意外な障害

彼らを生きにくくさせるアスペルガー症候群

  • 斉藤 さゆり,日本精神科看護技術協会(監修)

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2011年3月14日(月)

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 ストレスなどからココロを病むビジネスパーソンが増加し、社会問題化しています。メディアでも大きく報じられ、小説や映画などでも描かれるようになりました。

 このコラムでは、ココロの病を扱った映画を題材にして、日本精神科看護技術協会に所属し、日々患者に接している精神科看護師の解説を交えながら、誤解されやすいココロの病の本当の症状や対処法などを明らかにしていきます。

 今回に紹介するのは、お互いが抱えるハンディキャップが原因ですれ違うカップルの恋の行方を描いた米映画『モーツァルトとクジラ』。この作品の中で、どのようなココロの問題が描かれているのか。名優たちのリアルな演技を通して具体的な症状を正確に把握し、理解を深めていきましょう。

 「このタクシー会社に入ってまだ7日と9時間37分。仕事中に事故を起こして今まで3つの会社をクビになったけど、事故の原因はいつも無線なんだ。そう、無線が……」

 アメリカのある都市。タクシー運転手のドナルド・モートンは、バックミラーに映る後部座席の乗客にちらちらと目をやりながら一方的にそう話した途端、無線の声を気にし始める。そのせいで注意が散漫になって前方に駐車している車に気づくのが遅れ、ブレーキをかけたものの追突。またも仕事中に、小さな事故を起こしてしまう――。

 これは、2004年にアメリカで製作された映画『モーツァルトとクジラ』の冒頭シーンだ。ドナルドは駐車中の車に追突する直前、乗客にこんな話もしている。「無線の声に集中すると、頭に地図が浮かんで消えないのが問題なんだ」と。

 一見ごく普通の青年だが、彼は「アスペルガー症候群」という障害を抱えている。都内の精神科病院に勤務する精神科看護師の鈴木美恵子さん(仮名、日本精神科看護技術協会所属)によると、冒頭のシーンをはじめ、この映画ではアスペルガー症候群の特徴がとてもリアルに描かれているという。

 それもそのはず。『モーツァルトとクジラ』は、アスペルガー症候群であるジェリー・ニューポートという人物の実話を基にしており、彼はこの作品で監修も務めているのだ。

言葉のキャッチボールが苦手で会話が成立しにくい

 アスペルガー症候群は、自閉症と同じ「広汎性発達障害」の一種。生まれつき脳の機能に偏りがあることから、コミュニケーション能力や社会性が欠如したり、興味や行動にも偏りが生じたりする先天的な障害だ。

 とはいっても、知能に遅れが見られるわけではない。むしろ知的レベルが比較的高いことが分かっている。

[鈴木看護師の解説]

 アスペルガー症候群の人は、他者と言葉のキャッチボールをするのが苦手です。話の流れや趣旨を把握できないので、自分が興味のあることを唐突にしゃべり始めます。だから会話がかみ合わず、コミュニケーションが成立しにくいんです。

 一般的な常識も欠落しています。どんな行動を取ることが社会の常識に当てはまるのかが分からないんです。それで状況にそぐわない行為や発言をして、周囲から「社会性がない」とか「空気が読めない」と見られてしまいます。

 ただし、これはあくまでアスペルガー症候群の代表的な障害で、生い立ちや経験などによって能力や行動の特性には個人差があります。だからこそ、アスペルガー症候群の人をひとくくりにはできない。そういうことが、この映画では丁寧に描かれている気がします。

 『モーツァルトとクジラ』の主人公は、広汎性発達障害を抱えた仲間が集う自助グループを主宰するドナルド・モートン(ジョシュ・ハートネット)と、グループの新メンバーである美容師のイザベル・ソーレンセン(ラダ・ミッチェル)の2人。

 彼らは共にアスペルガー症候群だが、鈴木さんの解説通り、この障害によってドナルドとイザベルが備えることになってしまった特異性には、多くの相違が見られる。

 映画の前半に、こんなシーンがある。ドナルドが自助グループの集会で、「今日は公園に行き、男性と女性のグループに分かれて自己紹介の練習をしよう」と提案する。公園に着くと男性のメンバーを集め、自ら子供のころのエピソードを披露する。

 「僕は温かい家庭に育った。でも2歳の時、両親は『息子はほかの子供と違う。この子は普通じゃない』と知るんだ」

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