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人類はこれからも『繁栄』する ~未来悲観論をメッタ斬り

  • 麻野 一哉

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2011年3月14日(月)

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繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史』著:マット・リドレー、訳:柴田裕之、大田直子、鍛原多惠子、早川書房、上下巻各1890円

 人類は繁栄している。

 これだけ不景気が続くと、「はあ? どこが」といいたくなるような一文だが、「10万年前から比べたら」の話である。人類は、人口も寿命も健康も生活環境も、10万年前に比べたら格段に繁栄している。本書は、なぜそれが可能になったかの理由を「交換」という人類独特の行為に帰する。

 「交換」こそが現在の栄華の礎となった。この観点を軸に、人類の歴史を20万年前から俯瞰していく本書は、「交換」が繁栄を支えた地域や時代、逆に「交換」が抑圧された結果、衰退していった地域、時代を検証していく。また、「交換」によって、「分業」「専門化」が起こり、「農業」が発生、「市場」が生まれ、「発明」がより意識的になされるようになったが、その一つひとつの経緯を、生物学や考古学、人類学の新しい知見でもって解説する。これが本書の前半である。

 後半は、世にはびこる「悲観論」への大反論大会である。

 「悲観論」というのは、「地球温暖化」「精子がへっている」「狂牛病」「食料危機」などの「人類もうダメだー」説の数々である。本書は、原題を「THE RATIONAL OPTIMIST」――「合理的楽観主義者」という。歴史を振り返ると、ある時点では解決が困難な問題もやがては必ず解決にいたり、人類は力強く歩んできた。であれば、楽観的である方が合理的な態度である。そのことを、これでもかとばかりに例示するのが後半である。

「分業」と「専門化」の恩恵

 物々交換をする動物は人間だけだ。互恵的行為といって、二者が同一の行為を与え合うといったものであれば、他の動物も行う。たとえばチンパンジーはお互いに毛づくろいするが、これが互恵的行為である。しかし、まったく違う物、たとえば、「クワ」と「米」といったような、その価値が同等かどうか判断がつかないものを交換するということは他の動物ではありえない。

 しかし、これこそが「分業」と「専門化」を可能とする大きな一歩となった。ある集団は鉄の加工に習熟し、ある集団は農業に専念できる。両者ともが得意分野で勝負できる。知識がたまり、技術が向上し、その結果「時間の節約」が生じる。

〈繁栄とは端的に言うと節約された時間であり、節約される時間は分業に比例して増える〉

 一例として、照明の進化があげられる。1時間読書をするために蛍光灯をつける。その電気代のために現代人は0.5秒だけ働けばいい。しかし1950年の白熱電球だと8秒働く必要があった。さらに石油ランプを使っていた1880年だと15分働く必要があり、1800年の獣脂ロウソクだと6時間以上の労働が必要だった。

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