• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

地球の主役交代?『植物になって人間をながめてみると』
~「新たな焼畑」の限界

  • 浅沼 ヒロシ

バックナンバー

2011年3月22日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

植物になって人間をながめてみると』緑ゆうこ著、紀伊國屋書店、1890円

 星新一氏の『きまぐれロボット』に収録されている「ネコ」というショートショート作品がある。

 ほうぼうの星をまわって平和的な星かどうかを調査する宇宙人が地球にやってきて、とあるネコにインタビューするお話である。ネコはこの星を支配していると宣言し、人間のことを「あたしたちのドレイの役をする生き物」と紹介した。

 ドレイはどんな働きをするのか、という宇宙人の質問に、ネコは答える。

「たとえばこの家よ。人間が作ってくれたわ。それから牛という動物をかい、ミルクをしぼって、あたしたちに毎日、はこんでくれるわ」

 ネコを念入りに調査した宇宙人は、こんな平和的な種族が支配する星は見たことがない、と感嘆して夜の空へと消えていった――。

大昔から植物は人間を働かせてきた

 星新一と同じように、人間がこの星を支配しているなんて思い上がりかもしれない、と問題提起しているのが緑ゆうこ氏である。本書『植物になって人間をながめてみると』では、人間は植物を利用しているつもりで実は逆に「利用」されているのではないか、というユニークな視点で環境問題が語られている。

 むかしむかし、人類は狩猟採集生活をしていた。

 およそ1万年前、西アジアから東地中海海域を中心に、農耕牧畜に移行したと一般にいわれているのだが、最近の研究で、人類はもっと前から植物の世話をはじめたことが分かってきた。

 食べられる実や果実を見つけたら、人間は、まわりの薮を払ってやったり、雑草を引き抜いてやったりしていた。やがて原始的な焼畑農業を覚え、役に立つ植物をたくさん栽培することで、人口も増えていく。

 著者の緑氏は、さっそくここで視点を変えた見方を教えてくれる。

〈植物の目から見れば、つまりこういうことではないか。人間は植物様の競争相手を消してさしあげるために、大昔からせっせと働いてきた。稲作やら麦栽培やらの正式な農耕が始まるよりずっと前から、植物は人間を働かせてきたというふうにも見えてくるのだ〉

 初めに築いた関係は、その後の人間と植物のおつきあいにも踏襲されていく。人間は、焼畑の次に本格的に畑を耕すようになり、除草をし、肥料をやり、灌漑設備を整えてさしあげた。

 食糧が増えると人口も増える。都市に人が集まるようになると、食糧をよそから調達してこなければならなくなり、ローマ帝国では地中海の反対側の北アフリカがローマのための穀倉になっていく。

 食べるための植物だけではない。サトウキビ、お茶、タバコ、コーヒーなどの嗜好品が商品作物となり、原産地だけでなく、別の大陸でも育成されるようになる。

〈植物の動きだけに注目してみれば、サトウキビはシーダーやパインの原生林との生存競争に勝ち、タバコは野生の多年生草類をうちまかし、オイルパームはマングローブを倒して生育地を広げた〉

コメント1

「超ビジネス書レビュー」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

意外なことに、伝統的な観光地が 訪日客の誘致に失敗するケースも 少なからず存在する。

高坂 晶子 日本総合研究所調査部主任研究員