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酒を飲まずには生きていけない男の苦悶

巨匠ビリー・ワイルダーが撮ったアルコール依存症

  • 斉藤 さゆり,日本精神科看護技術協会(監修)

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2011年3月28日(月)

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 ストレスなどからココロを病むビジネスパーソンが増加し、社会問題化しています。メディアでも大きく報じられ、小説や映画などでも描かれるようになりました。

 このコラムでは、ココロの病を扱った映画を題材にして、日本精神科看護技術協会に所属し、日々患者に接している精神科看護師の解説を交えながら、誤解されやすいココロの病の本当の症状や対処法などを明らかにしていきます。

 今回に紹介するのは、アルコールにおぼれて身を滅ぼしていく男の姿を描いた米映画『失われた週末』。この作品の中で、どのようなココロの問題が描かれているのか。名優たちのリアルな演技を通して具体的な症状を正確に把握し、理解を深めていきましょう。

 米ニューヨークの中心部にあるアパートの1室。30代の兄弟がトランクに荷物を詰めている。弟に気分転換をさせようと、兄が週末に旅行へ連れ出す計画を立て、2人は間もなく列車で旅立つ予定だ。

 しかし、弟の方はまるで乗り気ではない。窓の外に密かにぶら下げてある酒のボトルが気になって、いらいらそわそわしている。そんな彼のいら立ちに気づかず、「土曜日はカントリークラブに行こう」と提案する兄。すると弟は、不機嫌な様子でこう返す。

 「カントリークラブには行かない。田舎の人間たちが『バーナム兄弟が来ている。弟はアルコール依存症だ』と噂するからな。きっと、すぐに『酒を隠せ』という警報が鳴るさ」

 アメリカの映画にはアルコール依存症を取り上げた作品が結構あるが、巨匠ビリー・ワイルダー監督が1945年に撮った『失われた週末』は、その草分けとも言える作品。アルコール依存症の実態がリアルに描かれている。

 東京アルコール医療総合センターを備える成増厚生病院(東京都板橋区)に勤務する精神科看護師の榊明彦さん(日本精神科看護技術協会所属)は、「この映画はアルコール依存症を知るためのテキストとして適している」と話す。

多量の飲酒を10~20年続けると依存症になる可能性!

 自分の意志で飲酒をコントロールできなくなり、体内にアルコールが入っていないと心身にさまざまな症状が表れて、家庭や社会生活に支障を来たす。それが、アルコール依存症という病だ。いったい、人はどんな過程を経て、このような状態に至るのだろうか。

 最初は時々飲む程度だったのが、何かをきっかけに飲酒が習慣化し、次第に同じ量では酔えなくなり酒量が増えていく──。こうして知らぬ間にアルコール依存症に陥るというのが、一般的なパターンのようだ。

 では、『失われた週末』の主人公であるバーナム兄弟の弟、ドン(レイ・ミランド)の場合はどうか。

 大学時代に書いた小説が学内で認められたことから、作家を目指すべく中途退学した。だが、その後は思うような作品が書けず、焦心を紛らわせるために酒を飲むようになる。

 そこから、人生が狂い始める。いつの間にかアルコール依存症となり、33歳の現在は、兄のウィック(フィリップ・テリー)のアパートに居候する身でありながら、酒浸りの毎日を送っている。弟を何とか立ち直らせようとウィックが八方手を尽くしているのだが、ドンは一向に酒と縁を切ることができない。

[榊看護師の解説]

 飲酒が習慣化してからアルコール依存症になるまでの期間は、男性で20~25年、女性の場合はその半分と言われています。ただし、体格や飲む量などによる個人差があって、飲酒期間が20年以下で発症するケースも珍しくありません。

 映画の主人公も、20歳前後から日常的に飲み始めて30歳の時には飲酒をコントロールできなくなっていたようなので、約10年でアルコール依存症に至ったことになりますね。

 そのドンが「10日間も禁酒に耐え続けている」と言うので、気晴らしになればとウィックが企画したのが週末の旅行だったのである。

 兄弟が旅支度をしている最中に、ドンの恋人ヘレン(ジェーン・ワイマン)が訪ねてくる。彼女がこれから1人でクラシックのコンサートに出かけると話すと、ドンは出発の時間を遅らせてでも兄のウィックを同伴させると申し出る。

 今まで何度も裏切られてきたウィックとヘレンが、いぶかしがらないはずがない。そんな2人をドンは何とか言いくるめ、無理やりコンサートへ送り出そうとする。しかしその時、窓の外に吊るして隠しておいたウイスキーがウィックに見つかり、捨てられてしまう。

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