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日本的集団主義に背を向けて『鋼鉄の叫び』 ~自分の生き方は自分で決める

  • 浅沼 ヒロシ

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2011年4月18日(月)

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鋼鉄の叫び』鈴木光司著、角川書店、1890円

 『鋼鉄の叫び』というタイトルがごつごつした硬い質感を連想させるが、題名とうらはらに本書のプロローグは、河原で情交を結ぶ男女の描写から始まっている。

 2人はテレビ局に勤める独身ディレクター雪島忠信と、主婦のかたわら画廊でモデルのアルバイトをしている倉沢菜都子だ。30代半ばの2人は、運命的な出会いと熱情に押されて不倫関係に進んでいた。

 この日も、ダム放流の下見取材をかねた単なるドライブのつもりだったのに、忠信は突き上げる性衝動を抑えられなくなった。人の目があるかもしれない日中の屋外だというのに、菜都子の身体を引き寄せてしまったのだ。

 嫉妬深い菜都子の夫と保育園に通う娘の存在を気にしながらも、2人の関係は続く。

 忠信が仙台支局から東京の本局に異動したことによって、仙台に住む菜都子と会えるチャンスは少なくなった。しかし、2人が求め合う気持ちはかえって強まっていく。

 菜都子は東京でのモデルの仕事という口実を作り、忠信の取材旅行に同行する。渡辺淳一の不倫小説をなぞるかのように、昇仙峡、福岡、鹿児島と2人が逢瀬を重ねる前半のストーリーには「鋼鉄の叫び」の片鱗も感じられない。

 一方で、2人の取材旅行のなかで徐々に明らかにされていくのが、第2の主人公、特攻隊長峰岸泰三中尉の存在である。

1億玉砕から敢えて離脱した人間を探す

 忠信は、特攻隊員をテーマにしたスペシャル番組の企画をあたためていた。過去の作品のように特攻に散った若者を追うのではない。出撃したけれども自らの意志で編隊を離れ、家族のもとに生還した人間にスポットを当てたい、と忠信は考えていた。

 国をあげて1億玉砕に向かっていく流れのなかで、敢えてそこから離脱した人間を探す。その行動と思考は、バブル崩壊後の日本が抱える問題に貴重なヒントを与えてくれるはずだ(物語の舞台は1994年)。それが忠信の狙いだった。

 翌年の夏、終戦50周年記念番組として放送するためには、テレビ局の企画会議で上層部を説得しなければならない。なのに番組のキーパーソンとなる特攻隊員が見つからない。忠信の焦りは大きくなっていく。

 だが、菜都子が手にした細い糸のような情報をたぐり寄せていった先に、とうとう2人は峰岸中尉の存在を突き止める。企画意図にぴったりな特攻隊員が見つかったのだ。

 やっと連絡のとれた峰岸は番組に出演してくれるのか? そして2人の熱愛のゆくえは……。

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