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「ジャイアン」なアメリカの正義

2011年5月13日(金)

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「ビンラディン殺害?」
 まさか。
 第一報を見た時、てっきりデマだと思った。
 最近は、ツイッターもデマだらけだからだ。
 いや、ツイッターがどうこうではなくて、単に、私のタイムラインを行き来している人々が軽率だということなのかもしれない。

 あり得る話だ。犬が飼い主に似るように、ツイッターは持ち主に似る。とすれば、私がフォローしているメンバーが、似たもの同士である可能性は決して低くないわけで、であるならば、それらの私に似ているかもしれない人間たちが、震災以来、デマ情報をリツイートしがちになっているのは、むしろ必然だったのだろう。

 でもまあツイッター上のデマは面白い。私は楽しんでいる。特にタイミングの良いガセ情報にはいつも感心させられる。デマは時に事実よりも誠実だ。というのも、事実が単に起こってしまった出来事に過ぎないのに対して、デマは「起こるべき出来事」を語っているからだ。あれは、魂の声なのだ。

 ところが、ビンラディンの死亡を知らせるツイートは、どうやらウソではなかった。自分の目で遺体を確認できない以上、本当の真相は、結局のところ、われわれ一般人には最後までわからないのかもしれないが、それでもとにかくウサマ・ビンラディンと呼ばれていた男が、今後、公式の場において、死者として扱われるようになったことは確かだ。万が一どこかで生きているのだとしても。

 ビンラディン殺害の意味について、私は特に語るべき言葉を持っていない。
 殺害の方法や、遺体処理の適切さについても同様だ。思うところがないわけではないが、私の感想など凡庸で退屈なだけだ。今このタイミングで文字にして残すほどのものではない。

 私が強い印象を受けたのは、むしろアメリカ国民の反応だ。
 当日のニュース番組でも、「ビンラディン殺害のニュースを聞いてタイムズスクエアに集まるニューヨーカー」の映像が紹介されていた。ご覧になった方もおられるだろう。

 ビンラディン死亡のニュースを知るや、かの国の善男善女は、深夜にさしかかる時間帯にもかかわらず、三々五々、広場に繰り出した。ドライバーはクラクションを鳴らし、徒歩の者はコブシを突き上げながら歩いていた。そして、広場に集まると、彼らは一斉に叫んだのだ。声を合わせて。

「U.S.A ユー・エス・エー! ユー・エス・エー!」
 なるほど。
 私が考えていた以上に、ビンラディンは、とても強烈に憎まれていたようだ。
 当然と言えば当然ではある。

 あの9.11の惨劇が、本当にビンラディンの主導のもとに為された作戦であったのだとすると、あのどうにも弁護のしようのない凶行の首謀者は、米国民のみならず、世界中の平和な市民にとって明確な「カタキ」であるはずだからだ。

 でも、それでもなお、あの夜のニューヨーカーたちの祝祭的な喜び方は、なにかにつけて微温的な日本人である私の目から見ると、やはり過剰に見えた。

 チャンピオンズリーグの決勝を勝ち抜いた日のミラノ市民でさえ、もう少し抑制がきいていたと思う。それほどあの日の映像の中のアメリカ人の喜び方は異様だった。

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「「ジャイアン」なアメリカの正義」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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