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科学リテラシー事始『ニセ科学を10倍楽しむ本』 ~原発情報に振り回されないために

  • 赤木 智弘

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2011年5月23日(月)

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ニセ科学を10倍楽しむ本』山本弘著、楽工社、1995円

 東日本大震災によって福島第1原子力発電所が深刻なダメージを受けて以来、放射線に関する曖昧で雑多な情報があふれ返っている。多くの人達はそうした情報に振り回され、何を信じていいのか、分からなくなっているのではないだろうか?

 しかし、少なくとも私はそうした情報に惑わされず、冷静に必要な情報を見極めていると自負している。別に放射線に関する特別な知識があるわけではない。ベクレルやシーベルトなんていう単位も、ちゃんとした意味を知ったのは、それこそ今回の事故が起きた後だし。

 では、なぜ曖昧な情報に惑わされることがないかといえば、科学的な物の見方をほんのわずかに知っているからだ。

 科学と言っても、特に専門的な難しいことを勉強したわけではない。ただ、世の中にはびこる「ニセ科学」というものをおもしろがっているうちに、科学的な物の見方が自然と身についたのである。

科学に道徳の根拠を求めるな

 今回紹介する『ニセ科学を10倍楽しむ本』は、SF作家で、トンデモ本などを趣味的に検証する「と学会」会長の山本弘が送る、小学校高学年以上に向けたニセ科学の入門書。登場人物たちの会話形式で、平易な言葉で分かりやすく書いてあるから、科学と聞くと身構えてしまうような人でも安心して読める。

 「ニセ科学」とは、まえがきによれば「科学的なように見せかけているけれど、実はぜんぜん科学的ではないもの」のことである。

 本書には、水が言葉を理解するという「水からの伝言」。テレビゲームをし過ぎるとボケと同じような脳波になるという「ゲーム脳」。食の安全安心にまつわる「買ってはいけない」。合コンなどの席でお世話になる「血液型診断」。雲や動物が地震を知らせる「地震予知」。ノストラダムスが有名な「地球滅亡説」。そして「アポロは月に行っていない説」など、有名なニセ科学が網羅されている。それらの説がどのように間違っているのかを、本書の主役であり、ニセ科学に詳しい「パパ」と、ニセ科学に騙されがちな子供たちやおばあちゃんなどとの仮想会話によって解説している。

 たとえば「水は字が読める?」の章は、水を入れた瓶に「ありがとう」の紙を貼って凍らせるときれいな結晶ができ、「ばかやろう」の紙を貼ると結晶ができないという実験で一躍ベストセラーとなった『水からの伝言』(波動教育社)。

 この本を学校に持ち込み、キレイな言葉を使うことの重要さを教えるために、道徳の教材として使おうとする「教師」に対して、パパは、さまざまな視点やデータから、水は言葉を理解しないし、キレイな結晶ができるのもトリックであると説得する。

 その中で、パパは、教師に対してこう述べている。

パパ「道徳を教えるなら、それこそ童話や小説でもいいじゃないですか。事実ではないものを事実だという必要が、どこにあるんですか? 『道徳のためならウソを教えてもいい』なんて考え方は、それこそ道徳的じゃないでしょう?」

 そして、ニセ科学という言葉を世間に広めた、物理学者である菊池誠の言葉を引いて「道徳やしつけの根拠を自然科学に求めるべきではない」という。

 これらの言葉は、実はニセ科学の本質を述べている。

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