お待たせしました。先行き不透明、悩み多き時代に「ガラパゴスでいいじゃない!」と吹っ切った姿勢で臨む?「人生の諸問題、青春シリーズ」、再開です。今回からは好評を博した読書編「青春の5冊」に続き、映画編「青春の5編」をお送りします!
小田嶋 東日本大震災の後、TVのコマーシャルがACジャパン一色になったでしょう。
―― あまりに何回も繰り返されるので、苦情が殺到したという。
小田嶋 あれ、TUGBOATがかかわってなきゃいいな、と思ってたのね、俺。
岡 かかわってないですよ。
小田嶋 いや、もし、かかわっていたら、この先すごく話題に困るな、って。
岡 僕たちにも、震災後にみんなを励ますような広告を作ってくれませんか、という依頼はあったけど、そんなの、励ませないですよ。自分が被災していたら、ほかの人たちにも届くような言葉って、もしかしたらあり得たかもしれないけど、僕の立場は結局、やじ馬じゃないですか。被災していない連中が、被災した人たちに向かって何かを言って励ますなんて、できないと思ったね。
広告主の名前は、出さないわけにはいかない
小田嶋 そういう思いは別にして、タレントたちがノーギャラで次々と登場して坂本九の「上を向いて歩こう」と「見上げてごらん夜の星を」を歌い継いでいく、というサントリーのCMなんかは、仮にすごく歌のうまいやつが5〜6人で歌ったら、いいCMになった可能性はあると思ったよ。矢沢永吉とか、あの中に結構、歌える人が3〜4人はいたでしょう。まあ、マッチとかが出てきちゃったときの違和感はすごいと思いましたけど。
岡 あれ、タレントの方も断りにくい手紙が来たんだろうなあ、って(笑)。ただ、ああいう手法で感動的なCMを作ったとしても、広告である以上は最後の画面にクライアント名が出ますよね。すごくいいことを言っても、最後に「サントリー」なり何なりがやっぱり出ちゃうから、うわっ、こんなときにも好かれたいのかな、って思われるリスクもある。たとえクライアントが、こういう場合は社名ははずしてくれ、と言ったとしても、広告枠で流す以上、番組じゃないから入れないとだめなんです、ということで。
小田嶋 そこは広告というよりも放送業界のルールだよね。
岡 そのルールからいえば、クライアントが買った時間は、どこの誰が言っているかを明記しないとだめだ、というのがあるんですよ。でも逆にいえば、広告のプロなら、どんなに心に染みそうなCMを作ったとしても、これ、最後にクライアント名が出るよな、って、そうなるのは分かっていたはずですけどね。
小田嶋 多分、作り手はそこまで計算済みなんだろうけど。まあ、実際、じーんと来たばかりに、最後に企業の名前が出てきたときの違和感というのは、ありましたね。
岡 ディズニーランドだけじゃないですか、震災時に顧客コミュニケーションが成功したのは。だって、あそこ、被災者だからね。
小田嶋 そもそもがね。
岡 震災発生時も、発生後も、ディズニーランドの対応は素晴らしかったらしいね。入園者たち全員を1人のけが人も出さずに安全なところに避難させて、食事を配って、情報も伝えて、と。
小田嶋 しかもアルバイトや従業員、というか、あそこはキャストと呼ぶそうだけど、キャストがまさに役割に成り切って、「僕たちフェアリーがいるから、きみたちは安心してくれたまえ」といった芝居を貫いたんでしょ。
岡 だから、自分たちが被災して、直すから、また来てください、というディズニーランドのメッセージだけは届いた気はしますよね。かといって「ミッキー、会いたかった〜」なんて、いうのは、これはあり得ない、と思ったけどね。
小田嶋 テレビのニュースだかでやっていたでしょう。再開したディズニーランドに出かけた30歳すぎの子供がいない夫婦が出てきて、「ミッキー、会いたかった〜」って、泣いているのよ。
岡 おかしいよね。
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