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足りないのは、才能ではなくて予算なのかもしれない

語り合おう、あの時に見たあの映画「青春の5本」その2

  • 岡 康道,小田嶋 隆,清野 由美

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2011年6月6日(月)

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今を遡ることン十年前、電通にいた岡康道さんはクリエイティブへの転局試験に合格、同僚に遅れること5年にして、クリエイターへの道を歩み始めます。5年間の差を埋めるべく岡さんは、映画を教材に映像の文法を学び直しました。今回はその経験で培ったノウハウ――なのか?――をお送りしましょう。

―― 前回は、4年にわたる映画勉強の期間を経た岡さんのCM作品デビューをうかがいました。「♪買ったら当たるよ サイパン旅行 ヘイ 日本じゃ地味でも サイパンじゃ美人♪♪」と、砂浜のセットで水着のお姉さん、サングラスのお兄さんが歌って踊る、ダイハツ・ミラパルコのCMです。

 ……。だから、その前に観た数々の名作映画を昇華して、広告にするには、もうしばらく時間がかかる(笑)。

―― いつぐらいからですか。

 「その先の日本へ。」(JR東日本・92年)ぐらいからです。36歳ぐらいからだから、28歳から計算すると8年めですね。

小田嶋 実にね。

―― どう思いますか?

小田嶋 いや、偉いと思うよ。何も作らなかったクリエイティブという時代があったことを俺は初めて知ったから。

 作らなかったんじゃなくて、作れなかったんだよ。

小田嶋 それは発見ですよ。

学ぶにはシナリオが必須

―― その前に映画をたくさん観たことは、岡さんの役に立ちましたか?

クリエイティブディレクター 岡 康道氏(写真:大槻純一、以下同)

 それは厳密には分からないんだけど、役に立ったと思うんですよね。だってコンテが描けるようになったもん。僕はそれこそ映画を専門に勉強したわけではまったくないけれど、例えば「これはいい映画だなあ」と思ったものは、脚本を手に入れることができるんです、探せばね。小津安二郎なんかは、全脚本があるんですよ。

小田嶋 へえ。

 それから、面白い作品でいえば、つかこうへい「蒲田行進曲」がありますよね。映画を最初に観て、面白ければ脚本を読んで、そしてもう1回映画を観る、と。すると、「あ、このセリフってこんなふうに言うんだ」とか、言葉と人の動きとか、いろいろなことに気が付くんです。

―― 脚本を読まないと気付きませんか。

 ただ映画を観るだけでは、ああ、面白かった、ああ、つまらなかった、で終わりですからね。だから、そうだね――これは誰にも言ってないけど、CMプランナーの勉強として映画を観るなら、シナリオを読まなきゃだめですね。読んで、それでもう1回観ないと。

小田嶋 なるほど。

 シナリオを読みながら映画を観ると、「寄り」と「引き」が分かる。そうしたらコンテが描けるようになる。そうなって、僕が発見したのは、小津安二郎の映画は最も広告から遠い、ということでしたね。

小田嶋 それは遠そうだよね、いかにも。

つかこうへいの「広告的」なすごさ

 小津との対比でいうと、つかこうへいの言葉は広告的なんですよ。つかこうへいの演劇というのは15秒、30秒で切っても、そのシーンだけですでに面白いですから。だからCMでは小津的な手法って、今でもあり得ない、ということになっているんだけど、でも僕は、ひょっとしてあり得るんじゃないか、と思い続けてきた。つまり、何も起こらない映画であっても、心が揺さぶられることがあるならば、広告だって可能性はあるんじゃないか、といまだに思っているんです。それで邦画に続いて、洋画を観るようになって、やっぱり圧倒的にすごいな、と僕が思ったのが、ヒッチコックでしたね。

小田嶋 確かにヒッチコック、すごいよね。昔、何かで読んだヒッチコックのインタビューで、とても感心した話があるの。「物語を作る上で一番大切なことは何ですか?」という問いに彼が答えて言うに、「それは黒いかばんである」と。「黒いかばん」を謎の象徴にして、黒いかばんを持っている男とか、空港の片隅に置き忘れられている黒いかばんとか、色々な場面で黒いかばんを映しておく。観客に「あれは何だろう?」と思わせる場面を常にどこかに1個、用意しておかないといけない、という話だったんだけどね。ああ、映画監督ってこういうふうにモノを考えているのか、と思ったね。

―― 岡さんは、そういうふうにモノを考えますか。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官