「フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える」

日産さんのリーフさんのエンジニアさんが語る、EVの神髄

第95回:日産自動車 リーフ【開発者編】その2

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2011年6月16日(木)

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 みなさまごきげんよう。フェルディナント・ヤマグチでございます。

 全国のヨタ話ファンのみなさま。お待たせいたしました。今回は路上で見かけた驚愕の風景をネタにお話しいたしましょう。いえ、実はヨタというよりも少しマジメなお話。お子様をクルマに乗せる際の、チャイルドシート装着に関するものであります。

 賢明なる読者諸兄はご存知のとおり、小さなお子様をクルマに乗せる時は、チャイルドシートを使用することが義務づけられています。1999年5月10日に、いわゆる改正道交法が公布され、翌年の4月1日から施行されました。その時に定められたのが“チャイルドシートの使用義務”。道路交通法第71条の3第4項です。少し長いですが条文の一部をそのまま引用しましょう。

「自動車の運転者は、幼児用補助装置を(幼児を乗車させる際座席ベルトに代わる機能を果たさせるため座席に固定して用いる補助装置であって、道路運送車両法第三章及びこれに基づく命令の規定に適合し、かつ、幼児の発育に応じた形状を有するものをいう。以下同じ)を使用しない幼児を乗車させて自動車を運転してはならない。ただし、疾病のため幼児用補助装置を使用させることが療養上適当でない幼児を乗せるとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りではない」

 法の世界ではチャイルドシートのことを“幼児用補助装置”と言うんですね。用語の解説に条文の半分近くを割いているところが何ともシュールですが、ともかく子供が怪我や病気、或いは授乳などの特別なケースを除いては、クルマに乗せたら必ずチャイルドシートに座らせなければならない。これはもはや“親のモラル”ではなく、“ドライバーの義務”であるわけです。
 違反するとシートベルトの着用義務違反と同様に“基礎点数が1点付加”。つまり“減点1”が待っている。まあしかしこれは点数の問題じゃありませんね。子供の命を守るために取るべき当然の措置。モラルの低いドライバーがシートベルトを着用しないのとはまるで意味が違います。
 分別のある大人が、自ら下した判断で死ぬのは勝手ですが、子どもの場合はそうはいかない。何しろ彼らが“衝突時のヤバさ”なんて理解している筈がないのですから。だから泣こうが騒ごうが保護者がキチンと管理をしなければいけない。「ウチの子は暴れん坊だからクルマの中でじっとしていられなくて……」なんてのは屁理屈以外の何ものでもありません。窮屈で可哀想だから、と車内で放し飼いにしておくのはネグレクトと言っても差し支えない所業だと私は思います。

 で、この写真。
 実は先日M嬢の誕生日のお祝いで食事に出かけたのですが、その際、幹線道路で見かけたシーンです。

都内の幹線道路で見かけた“窓から顔を出す赤ちゃん”。ダメです。これはいけません

 これはいけません。危険極まりない。道は混んでいたからクルマはノロノロとしか動いていませんでしたが、例え時速10キロメートルでも、この状態で急ブレーキを掛ければ子供の頭部は間違いなくBピラーに激突する。
 その結果どうなるか。頭がカチ割れるかもしれないし、首がヘシ折れるかもしれない。何れにしてもタダでは済みません。
 見たところ若い父親が運転し、後部座席には母親と思しき女性が座っていましたが、特に子供の身体を支えている様子もない(身体を支えていてもダメなものはダメですが……)。いったいどういうつもりなのか。これは犯罪にも等しい行為です。絶対に止めて欲しい。

 私は取材を通して、クルマを開発する現場の方々から様々なお話を伺っています。
 どこのメーカーも、開発者は燃費や乗り心地と同様に……いやそれ以上に、乗員の安全に関して大変な努力を払っています。それはバカっ速の「GT-R」でも、軽自動車の「ムーヴ」でも、もちろん今回取材させていただいた電気自動車(EV)の「リーフ」でも同じことです。どうしたら事故を回避できるのか。そして万一事故を起こしてまったら、如何にして乗員、さらには事故相手のダメージを軽減できるのか。それこそ夜も寝ないで考えに考え抜いています。
 しかし、ユーザーがこの体たらくでは彼らの努力も水泡に帰してしまう。シオシオのパーです。この写真を見て一番ガックリされるのは警察でも保険会社でもない、クルマの開発エンジニアではありますまいか。ああ、オレらがいくら努力しても、これじゃアカンわ……と。

 クルマは便利です。しかも楽しい。しかし使い方を一歩間違えれば凶器に変わってしまうことも事実です。我々はそれを十分に理解する必要がある。そしてそのことを(楽しさと危険性の両面があることを)子供達に正確に教えるのも我々大人の義務というものでしょう。

 私ごとき不調法者がナマイキを言って恐縮ですが、親愛なる日経ビジネスオンラインの読者諸兄。どうかご自身にシートベルトを!そしてお子様にはチャイルドシートを!
 事故が起きてからでは遅すぎます。

 それにしても何でこんな辛気臭い話になったのでしょう。これじゃヨタでもなんでもない。
 これでは調子が出ませんね。
 それじゃ最後に少しだけいつものフェル節を……。

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フェルディナント・ヤマグチ

フェルディナント・ヤマグチです。皆様と同じようにビジネスの最前線で仕事をする傍ら、アチコチの雑誌で連載を持っています。つまりクルマ業界に接してはいますが、本業ではない。首まで浸かっていない故、かえってギョーカイのシガラミや仕来りを超越して、好き勝手なことを書き倒すことが出来る微妙且つナイスなポジションに立っています。もちろん皆様と同じように昔からクルマが大好きで、学生時代はかなり無理をして懸命にクルマを購入したクチでして、一番最初に買ったのは、初代RX-7でした。最後は青山墓地の前で追突され大破してしまいましたが、あれは良いクルマでした。本業はかなり堅い会社で管理職を務めるリーマン稼業なものですから、顔出しNG&ペンネームで失礼いたします。や、そう警戒なさらないで下さい。決して怪しい者ではございませんので。



このコラムについて

フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える

 この度、故有りましてこの日経ビジネスオンライン上で、クルマについて皆様と一緒に考えていくナビゲーター役を仰せつかりました。どうぞよろしくお願いします。
 なに、“考える”と言ってもそれほど大袈裟なことではありません。クルマはこれからどうなって行くのか。現在売り出されているクルマは何を考え、何を目指して開発されたのか。実際にクルマに乗り、開発者に会ってお話を伺い、販売現場からの声にも耳を傾ける……。ビジネスはビジネスとして事実をしっかりと捉まえた上で、もうちょっとこう明るく楽しくクルマを味わって行こう、というのがこの「走りながら考える」の企画意図です。

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