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有事のリーダー必読!『失敗の本質』 ~日本的組織の硬直化を読み解く

  • 久麻 當郎

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2011年6月20日(月)

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失敗の本質――日本軍の組織論的研究』戸部良一、寺本義也、鎌田伸一、杉之尾孝生、村井友秀、野中郁次郎著、中公文庫、800円

 1990年代の金融危機の際に注目され、3・11の震災後に再び脚光を浴びている本書は、いわば「有事のバイブル」だ。少々刺激的な題名を持つ本書は、ノモンハン、ガダルカナル、インパールなど第二次世界大戦における日本軍の戦闘を研究したものである。

 たいていの人は、自分には関係ない本だと思うかもしれない。しかし、本書はただの戦史研究ではない。組織論、軍事史、政治外交史など異なった分野の専門家6人が集まり、社会科学的方法論を導入して、「なぜ、どのように組織として失敗をしたか」という命題を追究した成果なのだ。

「日本軍の下士官兵は勇敢であり、青年将校は狂信的な頑強さで戦うが、高級将校は無能である」。

 ソ連軍にこう評価されたノモンハン事件では、最前線の将校がソ連軍の兵力を過小評価して好戦的な方針を示したのに対し、中央の参謀本部が前線の将校の感情面を考慮してはっきりとした攻撃中止命令を出さず、あいまいな消極策しか指示しなかった。

 さらに、戦局が劣勢だと判明した後も日本軍は軌道修正ができず、損害を拡大してしまった。このような組織内の意思疎通ができなかったことによる失敗は、その後のインパールや沖縄の戦闘でも繰り返されてしまう。

図上演習での信じられない過ち

 日本軍の数々の失敗には、現実から目をそらそうとする姿勢が共通している。それはミッドウェー戦演習時のエピソードでより鮮明になる。

 ミッドウェー島攻略の図上演習で、航空母艦「赤城」に9発敵弾が命中という結果が出ると、参謀長は「ただ今の命中弾は三分の一、三発とする」と宣言し、本来なら撃沈のところを小破にしてしまった。

 また、同じく航空母艦の「加賀」はミッドウェー戦では沈没という結論にならざるをえなかった。ところが、ミッドウェー戦の後に予定されていたフィジー戦の図上演習で、なぜか沈没したはずの「加賀」が復活していた。

 たとえ「その場にいる者の士気を削がないため」という理由があったとはいえ、その図上演習によって戦場に送られた側はたまったものではない。これら戦闘の詳細は、読む者に重くのしかかってくる。信じられないような過ちが繰り返され、そのせいで多数の兵士の命が失われているからだ。

 本書は戦闘の分析の部分だけでも衝撃的だが、後に続く分析がさらに読む者を打ちのめす。「失敗の本質」と題して、日本軍の性質こそがこれらの失敗の原因であったことを説いているのだ。

 短期決戦の志向。「空気」の支配―論理ではなくその場の空気が議論を決めてしまうことの危うさ。狭くて進化のない戦略オプション。アンバランスな戦闘技術体系。人的ネットワーク偏重の組織構造、属人的な組織の統合。経験による学習を軽視した組織など、6人の著者たちは6つの戦闘からたくさんの特質を引き出した。

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