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すべてに危機感がない政と官

2011年7月5日(火)

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 東日本大震災と東京電力福島第1原子力発電所の事故への対応に批判が強まっている。 被災地の復興、原発事故に対する損害賠償の遅れはもちろんだが、再び停滞し始めた経済への対策はさらに見えない。

 政と官の改革はもはや、ニッポン復活のために避けて通れなくなっている。霞ヶ関の改革を唱え続けてきた経産省の現役官僚、古賀茂明氏(大臣官房付)が先頃、日本の政と官が抱える根深い病を抉る『日本中枢の崩壊』(講談社刊)を著した。

 政と官の病巣と今、何をすべきなのかを古賀氏に聞いた。

(聞き手は日経ビジネス編集委員 田村賢司)

問 なぜ今、この本を執筆したのか。日本の中枢である永田町(政治)と霞ヶ関(官僚)の何が崩壊しているのか。

 ひと言でいえば(政と官に)危機感がない。みんな危機だと言い、平成維新が必要だと叫ぶが、やっていることは日常のレベルのものでしかない。大震災や原発事故の危機への迅速な対応はもちろん、経済の停滞に対する策もない。

 政治家は消費税引き上げは不人気な政策だから、これをやったら逆に後世に名を残すといった単純な思いこみで政策に手を付けてしまっているし、官僚は、政治主導を官僚排除にしてしまっている政治家を支える気になっていない。自己保身と利権維持に走ってしまっている。この本では、その問題の根元と危機を訴えたつもりだ。

古賀茂明(こが・しげあき)氏
1955年8月生。55歳。80年東京大学卒業後、通産省入省。92、93年と幹部候補への一里塚とされ、省内の政策全般を議論する法令審査委員を務める。2004年に次官候補の多くが経験する経済産業政策局経済産業政策課長。以後、中小企業庁などを経て、2008年に国家公務員制度改革推進本部事務局審議官。2009年12月から現職

問 具体的に言うと、どうおかしくなっているのか。なぜおかしくなったのか。

 例えば、成長戦略は毎年のように作っているが、いっこうに成長の気配はない。伸びる産業を押し上げるというが、農業や医療などそこで重要になる産業には担い手が足りなくなっている。資金や人材が規制で流れ込みにくくなっているからだ。

 みんな無理だというが、農業や医療に株式会社を参入させ、ヒト・モノ・カネを投入しやすくしたらどうか。高齢者ばかりで後継者も担い手も不足している農業に企業を参入させ、農業従事者はサラリーマンになってもいいではないか。

 なぜそれができないのか。それは集票マシンである農協を中心にした農業の仕組みを政治は維持しようとし、官は、それにのって自らの利権を守ろうとするからだ。官僚は、国民のためと口では言っても、自分の所属する役所のためという発想をまず持つ。

 総理が、そんな政策でリーダーシップを発揮するためには、国家戦略スタッフのような自前の強力なスタッフをもって立案しなければできないが、それも進まない。

東電をゾンビ企業にするな

問 市場重視の考え方・政策は、自民党の小泉純一郎政権時代の小泉・竹中(平蔵・元総務相)路線として反発も強い。

 小泉・竹中路線は間違いではなかった。ただ、母子家庭、父子家庭、貧困など弱者対策に踏み込んでいなかったところに問題はあった。

 大事なのは、大胆な改革も迅速な対応もできていないということに目を向けることだ。

問 東京電力の処理策についても厳しく批判している。

 なぜ、株主にも債権者にも責任を問う、つまり減資で株式の価値をゼロにし、債権も一定以上をカットして東電を出来るだけ身軽にして再生を早く図ろうとしないのか。

 閣議決定された原子力損害賠償機構案には、(1)今後の原発事故への損害賠償、(2)今回の福島原発の事故への損害賠償、(3)東電の再生支援の3つが混ざり、極めて分かりにくい仕組みになっている。

 一義的には東電が損害賠償をすることになっているが、最後は各電力会社が電気料金を上げることで損害賠償と東電支援のコストを国民負担にすることになる。政府が直接負担する道も実は用意されている。その一方で銀行など貸し手の債権は守られることにもなる。

 膨大な額の損害賠償を行いながらこの枠組みで東電の再生支援も行おうとすると、数十年利益も出せないゾンビのような会社を作ることになり、電力料金は下がらず、国民にはいいことはない。

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「すべてに危機感がない政と官」の著者

田村 賢司

田村 賢司(たむら・けんじ)

日経ビジネス主任編集委員

日経レストラン、日経ビジネス、日経ベンチャー、日経ネットトレーディングなどの編集部を経て2002年から日経ビジネス編集委員。税・財政、年金、企業財務、企業会計、マクロ経済などが専門分野。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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