• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

認知症患者の「思い」をエンディングノートが救った

望み通りの人生を最後まで全うしよう

  • 佐々木 悦子

バックナンバー

2011年8月10日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 「エンディングノート」をご存じだろうか。人生の後半に直面するお金や暮らしの問題について、自分の考えを整理するためのツールだ。家族や周りの人に自分の考えを伝え、いざという時に役立ててもらう“プレゼント”にもなる。

 葬儀とお墓のスペシャリスト、佐々木悦子氏に、エンディングノートの書き方、役立て方を解説してもらう。

 筆者はNPO法人(特定非営利活動法人)ライフデザイン研究所に勤務し、年中無休で6500人近い人々の葬儀や墓の相談に乗り続けてきた。“終活”――人生の終末期を自分らしく過ごすために生前から準備すること――をする相談者に「なぜ終活をするの?」と尋ねると、こんな2つの答えがよく返ってくる。1つは「子供に迷惑をかけたくない。だから、できるだけ葬儀費用を抑えて簡素に」。2つ目は「独り暮らしで後を見てくれる人が居ないから」。

 百数十カ所に及ぶ役所を訪ね歩いたが、どこにも、エンディングまで見据えた完璧なサポート体制は出来上がっていない。少子高齢社会が進行し、無縁社会が広がりつつあるにもかかわらず、サポート体制がないとなれば、見送られる本人が、“自己処理”を模索しなければならなくなったのは当然のことかもしれない。この自己処理を成し遂げるための伝達手段として、多くの人が注目しだしたのが、これから紹介するエンディングノートである。

納得のいく葬儀と墓を

 1年前に見送ったA氏には、子供が居なかった。妻は植物人間状態で入院中。もし、自分が先に死んだらどうなるのか。甥っ子に相談をしたら、「墓守はできないから永代供養墓に入ってくれ」と断られ、唖然としたという。「一生懸命働き、生きてきたのだ。あいつに頼んだら、通夜も告別式もすることなく火葬場に送られてしまう」「お金ならある。何とか、自分の納得がいく葬儀をしたいし、墓を持ちたい」。

 ご相談のためA氏の自宅を訪問した時、同氏は末期ガンを患っており、病院に行くのが精いっぱいの状態だった。死と直面しなければならなかったA氏は、皮肉にも、認知症になることでその深い悲しみから解放されたのだった。

 A氏が役所に相談すると弁護士を紹介された。しかし、A氏と対立している甥っ子の発言力は、判断力を欠くA氏よりも強いように筆者には感じられた。認知症を患ったA氏の遺言は意味を成さず、葬儀や墓への思いは弁護士には受け止めてもらえなかった。

 ところが、A氏が認知症になる前に、筆者が協力して作成していたエンディングノートが、何と役に立った。そこには、「葬儀」と「墓」に関するA氏の要望が記載されており、見積書も添付されていた。

 A氏は、結果的に最期を看取ることになる別の甥っ子K氏にエンディングノートを託した。K氏の協力の下、親族、弁護士、寺、葬儀社、石材店にかけ合い、本人の希望通りすべての事を終えた。

 エンディングノートには、遺言書のような法的効力はない。それでも終活のツールとして注目されだしたのは、「介護・医療」「葬儀・墓」「葬儀後の諸手続き」などの場面で、本人の要望を叶える、あるいは、関係者に判断してもらう材料を提供する、遺言書に準ずる効果を発揮するからであろう。

エンディングノートは家族を助ける

 エンディングノートは、それを読む周りの人々の助けにもなる。例えば、本人の命にかかわる判断を迫られた時(延命装置を付けるか、付けないか?)、周りの人間は、精神的にも体力的にも、そして金銭的にも困難な選択を迫られる。こんな時、エンディングノートがあれば、問題を解決するための手がかりを得ることができる。

 「いざ、その時」を迎えると、慌てふためく遺族が多い。自分の住所や電話番号すら思い出せなくなったり、何度も同じ言葉を繰り返してみたり。学歴や経歴、会社の情報があれば、葬儀を誰に知らせるのかを判断する材料になる。故人の人柄や趣味などは、お寺が戒名を授けるに当たって、必要な情報である。

 以下に、エンディングノートを書くためのルールを、「現実に即した形」で具体的に説明する。

「あなた」を知る手がかり

 どんなことを書けばよいのか。

 人生をラインでとらえ、終末までの流れを想定してみよう。一般的には、介護・医療→葬儀→墓→葬儀後の諸手続き、という順になる。それぞれの場面ごとに、自分の意思を明確にしていくとよい。

画像のクリックで拡大表示

コメント3

「エンディングノートを書こう~あなた&家族のため」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

トランプ政権のここまでの動きはスロー。

ジョセフ・ナイ 米ハーバード大学特別功労教授