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貧しいゼロ年代を覆った『殺して忘れる社会』~“チェンジ=善”論の落とし穴

  • 赤木 智弘

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2011年8月1日(月)

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 いくぶん物騒なタイトルの本書は、ジャーナリストの武田徹が産経新聞に連載した時評をまとめた1冊。2004年から2010年に起きた様々な出来事が取り上げられている。

 私たちが、こうした「過去の論評」をまとめた本を読む時には、自ずと「私たちがその当時、その事柄に対してどう考えていたか」を思い出すことになる。

 例えば、2006年の記事では、著者がグッドデザイン賞の選考委員を務めていた時代の携帯デザインの話をしている。その中に〈国外ではフルキーボード付きの携帯電話、いわゆるスマートフォンが急増中だ。一方日本では未だにテンキーしか持たない機種が主流〉といった当時の携帯事情を表した記述がある。

 今や、日本でもスマートフォンの利用者が急増し、市民権を得ている。しかし当時は、日本の携帯がガラパゴス状態であることに大半の日本人は気づいていなかった。日本でスマートフォンの存在を知らしめたiPhoneの日本での販売開始は、この記事の2年後、2008年の7月になってからである。

 日本でもスマートフォンが急増中の現代、それが一般的でなかった過去の時代に、私たちが携帯に対してどのような意識を持っていたのかは、徐々に忘れていく。

「殺す」と「忘れる」は表裏一体

 本書のタイトルにある「忘れる」は、比較的分かりやすい概念であるように思う。

 特に昨今のテクノロジーが大きく変化していく社会において、過去にどんな社会生活を送っていたか、そしてその上でどのようなことを考えていたかといった、生活に密着した部分の意識を私たちは忘れ去ってしまう。

 では「殺す」とはなんだろうか?

 筆者がまえがきで挙げているのは、マスメディアにおけるバッシングである。

 妻子ある国会議員との密会が報じられた女性ニュースキャスターに対し、社会が加えたバッシングと、その後彼女がバラエティー番組などで復帰したことを示し、前者を「殺す」、後者を「忘れる」としている。

 そして〈すぐに忘れられるほど他者の存在が軽くなっているからこそ、(社会的)生命を奪うまで抵抗感なく追い込むことができる。そして、すぐに忘れてしまうから、追い詰める側は自分たちの冷血さに気づくにも至らない〉として、「殺す」と「忘れる」は矛盾せず、表裏一体であると示す。

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