「日本に暮らすムスリムの日常」

増え続ける日本のムスリム

彼らは何を思い、何を大切にして暮らしているのか?

  • 佐藤 兼永

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2011年8月9日(火)

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 東京の代々木上原にある東京ジャーミイをご存じだろうか? 大きなドームと尖塔を備えた、歴史の教科書に出てきそうな佇まいの壮麗な建築物は、オスマントルコ様式のモスク――イスラム教の礼拝所−−だ。建物の躯体工事は日本のゼネコンが担当し、内外装はトルコから招聘した職人が手がけた。

東京の代々木上原にある東京ジャーミイは2000年に完成した、イスラム教の礼拝施設である。
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 トルコ共和国政府の手で建てられた東京ジャーミイは日本を代表するモスクの一つだが、典型的な日本のモスクではない。早稲田大学の調査によると、2010年3月現在、日本各地に60を越えるモスクがある。それらの大半は、1980年代後半以降に急増したムスリム(イスラム教信者)の労働者や留学生が自ら建てた、草の根のモスクだ。

福岡マスジド(モスクを意味するアラビア語)は2009年4月に開堂したモスクだ。福岡在住のムスリムが国内外から寄付を集めて新築した。既存の物件をリフォームした多くの草の根のモスクとは異なる。福岡マスジドは、九州大学に程近い福岡市東区、JR線沿線の再開発地区に位置している。
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 この連載では、ムスリムという、多くの日本人にとり馴染みの薄い人たちを取り上げる。 80年代以降、日本に魅力を感じ、日本で学び、働くムスリムが増え続けている。少子高齢化に直面する日本社会及び日本企業は、彼らの力を必要としている。ムスリムが何を思い、何を大切にしながら日本で暮らしているのかを知ることで、彼らと一緒に暮らしていくためのヒントが得られると思う。

茨城県日立市にある日立モスク内での集団礼拝の風景。茨城大学工学部の留学生を中心とした地元のムスリムが、キャンパス近くにある民家を買い取り、モスクとして利用している。近い将来に建て替えを予定しているため、リフォームすることなく使用している。
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「マイノリティになる以前のマイノリティ」

 日本に暮らすムスリムの正確な数を把握することは難しい。国勢調査や、法務省の出入国管理統計などにおいて宗教を問う項目がないからだ。早稲田大学で、日本に暮らすムスリムの調査を進めてきた多民族多世代社会研究所の推計によると、11万人前後のムスリムが日本に暮らしているとみられる。そのうち10万人ほどは外国籍のムスリムだと考えられている。(2010年3月現在)

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