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ムスリムを受け入れることで企業も成長する

日本の会社で働くムスリム2

  • 佐藤 兼永

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2011年8月30日(火)

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 古河電気工業の人材育成部で外国人の採用に携わる関尚弘さんが、留学生向けの会社説明会で初めてソリハさんに会った時、有望な候補だと直感的に思ったという。古河電工は海外での売上比率を将来的に50%まで引き上げる計画を実行している。このため「会社に来てほしい」と思わせる優秀な留学生に出会った時には「入社してくれるよう、なりふり構わず」働きかけるようにしている。

 ソリハさんとは『The Goal』という本の話で意気投合し、来てほしいと思った。会話のなかで彼女の宗教が話題に上ることはなかったが、インドネシア出身でスカーフを被っていたことから、恐らくムスリムなのだろうと想像はついた。

 関さんはこう振り返る。「『宗教が原因で何か問題になる事はあるのかな』と思ったことはありました。何が起こるか全く分からなかった、というのが正直なところです。でも彼女には来てほしかった。だから彼女に来てもらうという前提で、何をすればよいのかを調べていった」。

分からないことは聞くのが一番

 ただ、少しだけ自分で調べた段階で、彼女に直接聞くのが一番だと気づいたという。

 「調べても分からないし、既に何回か会って話もしている。分からないことは分からないと、聞いた方がよいと判断しました。彼女に聞いたら、きちんと全部話をしてくれました。こちらの不安にも全部答えてくれて」(関さん)。

 関さんによると、疑問を解消するためにソリハさんと交わしたメールの数は、彼女が入社するまでに200通近くに上ったと言う。例えば、「1日5回の礼拝はきっかりと決められた時間にやらないといけないもの」と思っていたが、実際は、ある一定の時間内の都合の良い時にすませればかまわないと知った。公園でも人目を気にせずお祈りするソリハさんを見て、礼拝という行為が彼女にとって当たり前で自然の行為だと気づいた。その結果、面接が最終段階に差し掛かった頃には、長時間拘束しても問題ないように、彼女のために礼拝用の部屋を用意するようになった。

 ソリハさんにしてみれば、このような、関さんの「なりふり構わない」姿勢のおかげで、イスラム教に対する会社の理解度を知ることができた。

 「どちらかと言うと、人事の関さんが積極的に色々提案してくださいました。お祈りはいかがですかとか、お祈りの場所はどこにしますかとか」(ソリハさん)。

スカーフが機械に巻き込まれてしまったら…

 関さんが最も不安を抱いていたのはスカーフのことだった。
 スカーフを被ること自体は、信仰の徴ということもあり、全く問題視しなかった。しかし古河電工は製造業だ。ソリハさんがスカーフ姿で工場に出向いた時のことを考えると、安全面に不安があったという。

 「設備のそばを通った時に、スカーフが機械に巻き込まれてしまったら怪我をする。そんな事態をリスクとして心配しました」(関さん)。

 そこでインドネシアにある子会社の社長と電話やメールで相談した。だが、ソリハさんを工場見学に連れて行くことで、不安は自ずと解消された。頭部にゴムが付いたスカーフで現れたソリハさんは、工場に着くとスカーフの上から上着を着込んだ。頭部はゴムひものおかげで風に煽られることはなかった。スカーフの裾も上着の下に入っているので機械に巻き込まれる心配はなかった。

 会社勤めのムスリムと話をしていると、「日本人は宗教を会社に持ち込むことを嫌がる」という発言を聞くことがある。彼らに「会社への取材を承諾してもらえるか」と訊ねると、「宗教という個人的なことで会社に迷惑をかけたくない」という言い回しで断られることがたびたびあった。

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