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「面倒くさい」あの話に触れてみようと思う

2011年8月5日(金)

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 無視すべきだ。
 常識的に考えれば当然そうなる。
 論評してみたところで彼らが耳を傾ける道理は無いのだし、私が関わることでポジティブな変化が起こることも考えにくいからだ。獅子が全力を尽くすのはウサギまでだ。それ以下のサイズの生き物を追いかけることは、労力の無駄であるのみならず、百獣の王たる者の沽券に関わる。だから、獅子はネズミを追わない。君子もまたかくあるべきだ。その通り。賢い人間は炎上中の物件には近づかない。

 なのに、なぜだろう、私はそれを無視することができない。
 困った性分だ。
 ここまでのところで、半分ぐらいの読者は、ピンと来ているはずだ。
「ああ、オダジマはまた2ちゃんねるのネタをいじくりまわすハラなのだな」
 と。
「どっちにしても獅子ってガラじゃないし」

 その通り。今回はフジテレビの「韓流推し」に対して、主にネット上で展開されている反発の動きについて書いてみようと思っている。
 無視するのが一番賢いことはわかっている。
 でも、誰かが相手をしてさしあげないといけないのだ。

 君が代不起立問題を扱った原稿の中でも書いたことだが、ネット時代の言論弾圧は、「面倒くささ」として書き手の前に立ちはだかることになっている。別の見方をすると、メディアに関わっている人間が、面倒くさい話題や、触れるだけで自分のブログが炎上するタイプのタームを避けて通ることは、結果として、それらの問題を面倒くさくしている勢力に荷担することにつながるということだ。

 だから、私は、鼻をつまんで、この話題に手を突っ込まないとならない。
 担当の編集者さんには、先に謝っておく。きっと、うんざりするようなコメントが山ほど届くことになる。私は読まない。適宜処理してください。ごめんなさい。

 昨日まではスルーするつもりでいた。どうせ騒いでいるのはネットの連中のみで、大事件だと思っているのも、2ちゃんねる周辺の嫌韓の皆さんだけなのであろうと、タカをくくっていたからだ。
 事実、一般市民(という想定が、もはや空洞化しているのかもしれないが)の反応は、
「なんかまたネトウヨの連中が騒いでるのか?」
 といった、至極冷淡なものが大勢を占めていた。

 私自身も同じだ。騒ぎが起こっていることは承知していたが、特段に注意を払う気持ちには至らなかった。というのも、この種の紛争は、この5年ほど、規模の大小を問わず、毎日のように起こっている日常茶飯事だったからだ。やれ「笑っていいとも!」の中で紹介されたランキングで、「日本人の一番好きな鍋料理」が、「キムチ鍋」になっていたのは、いくらなんでもおかしいんじゃないかとか、スポーツニュースが韓国相手の国際試合に限って「韓日戦」という表記を使いたがるのは何らかの圧力がかかっているからではないのかといった調子で、韓国に関して、納得しにくい情報がメディアで紹介される度に、2ちゃんねるの幾つかの板では「祭り」が起こるのが常だった。だから、今回の騒ぎも、そうした過剰反応のひとつなのだろうと、私はかように考えて、それゆえ、横目で観察しながら、最終的には黙殺するつもりでいた。

 ところが、騒動は、日々拡大し、週が明けてからは、どうやら通常の「祭り」とは別のフェーズに突入している。

 なにより、規模がデカい。それに、発生後一週間を経て、いまだに沈静化する気配を見せていない。飽きっぽい2ちゃんねらーには稀有なことだ。伝えられるところでは、本件については、発生以来、既に500以上のスレッドが消化されたという。もとより「スレッド」数は、正確にカウントし難いものだし、スレッドの消費数だけで事件の重大性が計測できるというものでもない。が、それにしても500という数は、やはりとんでもない。私ははじめて見た。

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「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

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「「面倒くさい」あの話に触れてみようと思う」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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