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同級生の3分の2は避難したまま戻っていない

原発災害で我慢を強いられる子どもたち

  • 藍原 寛子

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2011年8月31日(水)

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「全国各地 どこにいても
 負けるな! がんばれ! 原1小 けやきっこ」

 校庭のケヤキがシンボルの南相馬市立原町1小。震災前には615人だった児童は、津波や放射能の影響などで次々に全国各地に転校してしまった。現在、3分の1以下の児童189人が、市内の鹿島小学校を仮校舎として授業を行っている。授業が行われていない学校のフェンスには横断幕が掲げられ、全国に散った子どもたちを応援している。

学校のフェンスに掲げられた子どもたちを応援する横断幕(南相馬市・原町1小)

 収束しない原発事故。終わらない除染。

 相次ぐ転校による児童数の減少や、遠方の仮校舎へ時間をかけたスクールバスでの登下校、すし詰めの蒸し暑い教室と遊泳中止のままのプール。

 福島県内の子どもたちの教育環境が、ますます厳しさを増している。

 現在の子どもたちの教育現場の実情を取材しようと、2学期の始業式を迎えた8月25日、同市の鹿島小学校を訪ねた。

 もうすぐ震災から半年。子どもたちの現状はどうなっているだろうか。

 通学路には早朝から、ランドセルを背負った子どもたちが父母らに連れられて、次々に姿を見せた。スクールバスで通ってくる子どもたちもいる。久しぶりに友達に会ったうれしさだろうか、子どもたちの表情も和らぎ、歓声が飛び交っている。

 しかしこの日は、震災と原発事故の影響で、例年とはまるで違う状況で2学期最初の日を迎えることになった。

子どもの数が激減 学校の環境も激変

 南相馬市の人口は震災以降、激減している。震災前約7万人だったのが、現在少しずつ市民が戻っているものの、3万9000人まで落ち込んでいる。児童、生徒数も激減し、事故震災前の児童数は小中学校で6021人(小学校4059人、中学校1962人、いずれも推計)と6000人を超えていたのが、震災直後から市外に転校する子どもが相次ぎ、半分以下の2350人(小学校1410人、中学校940人)まで減った。

 1学期の間に地域の除染活動が行われたり、放射線量が下がってきたことなどを市がアナウンスしたことから、夏休みの間に小中学校合わせて239人の子どもたちが戻り、小学校で1542人、中学校で1047人の合計2589人。それでも震災前の半分にも満たない。

 小中学校22校のうち、鹿島小、八沢小、上真野小の3小学校と鹿島中の合計4小中学校以外の学校は、警戒区域や緊急時避難準備区域内に校舎があるなどの理由から、ほかの学校の校舎を借りて授業をしている。自宅が遠い子どもは、スクールバスや父母の送り迎えなどで通学している。

 鹿島小には、同校の児童とともに、原町1小、原町3小、小高小、原町1中の児童・生徒が学校生活を送っている。人数は原町1小が189人、原町3小176人、小高小70人、原町1中250人、これに鹿島小の児童238人で、合計923人。震災前は鹿島小児童305人で使っていた学校施設を、震災後はその3倍の児童・生徒で融通し合いながら使っている。

 普段と違う始業式――。それは、時間制で学校ごとに順番を決めて、学校隣接の公共体育館を使って行われることから始まった。音楽の先生は、学校の校歌を書いた紙を教室から持参し、始業式の開始前に体育館の壁に張った。

「楽しみだった運動会ができず悔しい」

 午前8時30分、鹿島小の始業式が行われた。4月から延期されていた教職員の異動が8月に行われたことから、本年度の異動教職員の着任式も同時に行われた。校長先生のあいさつのあと、児童の代表が夏休みの体験と2学期の目標を作文にして発表した。

 県内の放射線の影響を避けて、夏休みだけでも県外で過ごしたという子どもが多かったようだ。

 沖縄県での夏休みのサマーキャンプに参加した5年生の男子児童は、「沖縄県で、高校生や中学生と海で泳いだり、バイキングでグループ活動の大切さを学びました。沖縄県の海は透明で、福島県とは違ってきれいだなと思いました。浅いところで水色、深いところで青色でした。海の水は塩辛かったです。沖縄県で活動したことは勉強になりました。福島県の原発が収まったら、沖縄県の人にもぜひ来てほしいと思っています。2学期は友達と仲良くして、楽しい2学期が送れるように頑張りたいです」と目標を発表してくれた。

コメント15件コメント/レビュー

読者コメントに「それらの様々な選択が安心してできるように全ての費用を国が抱えろという提起なのでしょうか? つまり、 (中略) その巨額の費用を限り或る税金で賄えという事なのでしょうか?」とありますが、その通り、国(または東電)が補償するのが当然でしょう。明らかに被害者なのですから。国にとっても、子供の健康と安全に関することは、施策的にも予算配分においても最優先事項でなければなりません。例えば、汚染稲わらの問題は食品の安全性確保よりも利益優先の甘い判断をした農家の自業自得なのですから、そのようなことに対する補償(牛の買い上げなど)をする予算があるならば、それらを子供たちの避難に回すべきと考えます。(2011/09/02)

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読者コメントに「それらの様々な選択が安心してできるように全ての費用を国が抱えろという提起なのでしょうか? つまり、 (中略) その巨額の費用を限り或る税金で賄えという事なのでしょうか?」とありますが、その通り、国(または東電)が補償するのが当然でしょう。明らかに被害者なのですから。国にとっても、子供の健康と安全に関することは、施策的にも予算配分においても最優先事項でなければなりません。例えば、汚染稲わらの問題は食品の安全性確保よりも利益優先の甘い判断をした農家の自業自得なのですから、そのようなことに対する補償(牛の買い上げなど)をする予算があるならば、それらを子供たちの避難に回すべきと考えます。(2011/09/02)

危険な技術が社会に受け入れられるかどうかは、結局のところ受け入れることによって得られる利益と、事故があった場合に被る被害のバランスが、国民にどう受け止められるかですよね。例えば飛行機が更なるコスト削減のために事故発生率を犠牲にしたら搭乗者数が減っていくでしょうし、逆に事故発生率をさらに削減するためにコストを省みなくなったら、それはそれで搭乗者数が減っていくでしょう。今年の夏、日本全体で必死に節電した結果、どれだけの消費電力削減でどれだけ不便な生活が強いられるか、産業が経済的被害を被るか、貴重なデータが得られました。あとは原発による事故でどれだけの被害が生じるのか、正しく国民が認識できるよう、被害状況をきちんと伝えていくことが大切です。その上でそれでも原発を使用し続けるのか、やめるのか民意を問うべきです。その点でこの記事の伝える子供たちの様子は大切な情報のひとつだと思います。(2011/08/31)

子供の安全や健康より、生産者などの経済的損失の方が重要...この国の行政府の対応だ。強い憤りを感じる。(2011/08/31)

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