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「内国債は将来世代の負担ではないから積極財政を実施すべし」のウソ

  • 國枝 繁樹

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2011年9月20日(火)

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  1. 「内国債は自分達に対する借金だから将来世代の負担ではない」との主張は、国債のある場合とない場合を比較していない点で誤った考え方。
  2. 現代の経済学界での「国債の負担」を巡る論争は、中立命題に関するもの。中立命題が成立し、国債は将来世代の負担ではないとするならば、積極的財政政策は有効ではない。
  3. 逆に、中立命題を否定し、積極的財政政策の有効性を主張するならば、国債は将来世代の負担であることを認める必要。
  4. いずれの説をとるにせよ、「内国債は将来世代の負担ではないから、赤字国債による積極財政を実施すべし」との主張は論理的に破綻。
 現金払いだと割安になる高額家電を買うため、銀行に預金を下ろしに行くことを想定してみよう。
 窓口で数十万円の預金をおろして銀行から出ようとすると、そこに運悪く拳銃を持った銀行強盗が現れる。強盗は、銀行にいた客からも金を奪っており、あなたがおろしたばかりの数十万円もそのまま、強盗に取り上げられてしまう。
 怒りに満ちた目で強盗をにらみつけるあなたに、強盗はこううそぶいた。「お前が銀行に入ってきた時はこの数十万円は持っていなかった。今、お前はやはりこの金を持たずに銀行を出ていく。銀行に来る前と出た後で何も状況は変わらず、何も損していないのだから怒る必要はないだろう」。
 ……さて、読者はこの強盗の言葉に一理あるとお考えだろうか?

 「国債は将来世代に負担を負わせるものであり、巨額の国債を抱えた我が国においては、将来世代の負担を軽減するため、早急な財政再建が望まれる」との標準的な見解に対し、我が国においては、「内国債は、自分達への借金であり、債務償還のための税金を負担するのも、償還金を受け取るのも日本国民なのだから将来世代の負担にはならない」との反論を行う論者が存在する。そして、さらには「内国債は将来世代の負担にならないのだから、赤字国債を増発し積極財政で景気回復を図るべき」との意見を主張する者もいる。

 残念ながら、そうした主張は、現代財政学においてはずっと昔に誤りであることが判明している。我が国でも多くの論者がその問題点を指摘しているが、それにもかかわらず、最近でも政治家や一部の経済学者・エコノミストの中にそうした主張を行っている者がいる。

 このため、今回は、改めて「内国債は自分達に対する借金なのだから、将来世代の負担ではない」との主張の誤りを説明する。その際、我が国でのこれまでの議論ではあまり強調されてこなかった「国債の負担」の概念の問題を重視しつつ、論じることとする。

「国債の負担」の意味

 「内国債は自分達に対する借金だから、将来世代の負担ではない」との主張は、経済学者のラーナーらによって1940年代に唱えられた。この頃、不況対策としての積極財政を支持するケインジアンの考え方が普及しつつあったが、保守派の経済学者より赤字国債は将来世代の負担になるとの批判が出たため、それに対抗して、積極財政を支持するラーナーらが内国債は負担ではないとの反論を始めたのである。

 この主張は、ほかの経済学者の再反論を呼び、ラーナーのほか、ブキャナン、ボーエン、モジリアーニらの有力な経済学者の間で1950年代から1960年代前半にかけて、活発な論争を呼んだ。しかし、現在では、学部レベルでの標準的な財政学の教科書で、「公債はわれわれが自分自身に借金をしているのだから、問題ではないという主張」について、「今や、この議論は……間違っていると知られている」(スティグリッツ『公共経済学(第2版)下』邦訳1009頁)とされているよう、ラーナーの議論は基本的に誤っていることが分かっている。

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