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ナレーションも音楽もなく『なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか』 ~準備をしないという方法

2011年9月20日(火)

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なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか』想田和弘著、講談社現代新書、798円

 テレビを見なくなって、ふた月になろうとしている。

 地デジ移行に反対!

 とかいうキッパリしたものではない。ぐずぐずして乗り換えそびれただけのこと。でも、意外だった。就寝時にもスリープモードにするくらいの中毒生活だったのに、なければ「ない」ですんでいる。多少見られなくなって残念な番組はあるが、それも「どうしても」でもない。

 変わったといえば、ラジオをよく聴くようになったのと、TSUTAYAを利用する回数が少し増えた(しかし、1カ月もすると借りたい作品が底をついてきた)、「旬」とされるタレントが分からなくなり、芸能情報には疎くなった。だったら困るかというと、それも「知らないの?」「知らない」ですんでいる。

「観察」が試される映画

 さて、本書は、モザイクを使わず、精神病患者たちをインタビューした『精神』や、「小泉旋風」の最中のドブ板選挙に密着した『選挙』などを発表し、海外の映画祭の賞を数々受賞してきたドキュメンタリー監督の映画論だ。

〈例えば、新たな登場人物が現れても、ワイズマンはその人の名前や肩書きをテロップで表示したりはしない。だから、観客はまず「この人、誰だろう?」という疑問を抱く。そこで普通の映画がするように「想田和弘(40歳)映画監督」といった情報を出せば、観客の疑問はすぐに解消されて「スッキリさわやか」なのだろうが〉

 引用したのは、想田さんが強い影響をうけたドキュメンタリー監督フレデリック・ワイズマンについてふれている箇所だ。想田さんは自身のドキュメンタリーを「観察映画」と呼ぶ。ワイズマン同様、説明テロップもナレーションも音楽も付いていない。テレビになれた目には、とても「不親切」な映画ではある。

 香港国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した最新作『Peace』の制作は、韓国の映画祭関係者から「平和と共存」をテーマにした短編の依頼を受けることからスタートしている。観客は、冒頭、猫にエサをやる初老の男性を「誰なんだ?」と身構えながらじっと見守らなければいけない。この時間はけっこう長い。

 「観察映画」とは、観客をふるい落とす映画でもある。観察が苦手なひとは楽しむことができない。テレビなんかとの相性はわるい。でも、「見る能力」が本能的にそなわっているひとには、もうこれを見だしたらテレビが見られなくなる、かもしれない。

 シンボウ強く見ていると、「わからない…」という軽い苛立ちが、カチッ!とはまりだし、とたんに「面白れぇ!」に反転する。観察人間の仲間入りする、とても幸福な瞬間だ。

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