「フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える」

激走?F氏、GT-Rでニュルに挑んだものの…

珍道中編 【第6回】インストラクターに「もっと速く」と連呼され

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2011年9月29日(木)

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 みなさまごきげんよう。
 フェルディナント・ヤマグチでございます。

 今日はドイツのニュルブルクリンク2日目であります(今なぜ私と編集I氏がこの地を訪れているかは、第1回第2回第3回第4回第5回をご覧ください。ああ、この怒涛のシリーズもついに6回目となりました)。
 昨日お伝えした通り、本日行われる予定だったタイムアタックは諸条件が整わなかったために断腸の思いで延期となってしまいました。周辺諸国から飛行機を飛ばして駆けつけたGT-Rオーナーズクラブや有力ディーラーの皆様方もさぞや落胆……と思いきや、GT-Rの勇姿をひと目見ようとサーキットまで駆けつけた重要顧客諸氏は意外と冷静です。こうしたハイパフォーマンスカーをシェイクダウンしていく難しさを十分に理解しているのでしょう。

ドイツ国内だけでなく周辺諸国から駆けつけたGT-Rファンのみなさま。イヤーモデルが出る度に“買い替え”ではなく“買い足し”していく超マニアもいるのだとか

 妥協してソコソコのタイムを出して(何しろ条件が整っていない現状でも、現行のモデルよりは十分に速いのですから)、まぁこんなもんスよと言ってしまうのは簡単です。いや、凡百のマネージャーなら、そうしてしまうかも知れません。
 何しろ大勢の顧客が来ているし、海外からのメディアもタイムアタックを期待して来ているのです(何とロシアからも!)。現地の広報の負担も生半可なものではないでしょう。「わざわざニュルくんだりまで来ているのに、どういうつもりだ!」と言われてしまうかもしれない。
 更に日本から莫大な経費を掛けて開発陣が大勢で来ているのですから、本社への説明も難儀しそうです。開発の現場をご存じない役員から何しとんねんと叱責される可能性も考えられる。いろいろ考え併せると、ソコソコで妥協してしまうのが一番合理的なのかも知れません。
 しかし、闘将水野和敏さんは絶対にそうしない。なぜか。GT-Rは“もっと速く走れる”ことを誰よりも分かっているからです。本来持つ力を出し切ることなく、広報や社内のシガラミ程度の“細事”で、GT-Rに衆目の前で恥をかかせる様なマネは決してしない。
 そう、ソコソコのタイムはGT-Rにとって“恥”以外の何ものでもない。圧倒的な速さで、見に来たお客さんのド肝を抜かさせなければ、新しいGT-Rがタイムトライアルをする意味などないのです。だからこそ熱狂的なファンが生まれる。英国からロシアから、飛行機を飛ばしてまで駆けつけるフリークが生まれるのです。わざわざ来てくれた彼らを、今日この日に“がっかりさせる”ことこそが、GT-Rの確固不抜なスーパーカーとしての地位を確立させているのかも知れません。

辛口批評でその名も高い独「sport auto」誌の編集長Horst Graf von Saurma氏(左)。
「素晴らしい。今までのGT-Rと全く違う」と水野和敏氏(右)に手放しの大絶賛です

 さて、タイムトライアルは来月へ持ち越しとなってしまいましたが、「せっかくここまで来てくれたのだから」と、何とニュルの北コースを走らせて頂くこととなりました。いえ、ヨコではなく私が自らハンドルを握り、由緒ある憧れのノルドシュライフェ(Nordschleife)を。なんたる幸運。なんたる興奮!それでは早速……。

隣にはプロ中のプロであり、各社からテスト走行の依頼を受ける“ニュルの主”のような現地テストドライバーに同乗いただいた。各コーナーでライン取りを横から詳細にコーチして頂くのだが……

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フェルディナント・ヤマグチ

フェルディナント・ヤマグチです。皆様と同じようにビジネスの最前線で仕事をする傍ら、アチコチの雑誌で連載を持っています。つまりクルマ業界に接してはいますが、本業ではない。首まで浸かっていない故、かえってギョーカイのシガラミや仕来りを超越して、好き勝手なことを書き倒すことが出来る微妙且つナイスなポジションに立っています。もちろん皆様と同じように昔からクルマが大好きで、学生時代はかなり無理をして懸命にクルマを購入したクチでして、一番最初に買ったのは、初代RX-7でした。最後は青山墓地の前で追突され大破してしまいましたが、あれは良いクルマでした。本業はかなり堅い会社で管理職を務めるリーマン稼業なものですから、顔出しNG&ペンネームで失礼いたします。や、そう警戒なさらないで下さい。決して怪しい者ではございませんので。



このコラムについて

フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える

 この度、故有りましてこの日経ビジネスオンライン上で、クルマについて皆様と一緒に考えていくナビゲーター役を仰せつかりました。どうぞよろしくお願いします。
 なに、“考える”と言ってもそれほど大袈裟なことではありません。クルマはこれからどうなって行くのか。現在売り出されているクルマは何を考え、何を目指して開発されたのか。実際にクルマに乗り、開発者に会ってお話を伺い、販売現場からの声にも耳を傾ける……。ビジネスはビジネスとして事実をしっかりと捉まえた上で、もうちょっとこう明るく楽しくクルマを味わって行こう、というのがこの「走りながら考える」の企画意図です。

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