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厳しすぎるファール判定と「野田三原則」

2011年9月30日(金)

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 「余計なことは言わない」「派手なことをしない」「突出しない」
 何の三原則だろう。
 農家の嫁の心得? あるいはエロ本屋のオヤジの自戒だろうか。
 答えは9月26日付の毎日新聞の朝刊に書いてある。

 上に挙げた3つの文言は、野田首相が政権運営の心構えとして側近議員らに指示しているもので、名付けて「安全運転三原則」という施政方針なのだそうだ。

 記事は、《与野党や官僚に気配りして「安全運転」の政権運営を進める首相は、次期通常国会に提出する12年度予算案や、悲願の税制関連法案の早期成立を念頭に、与野党協議の成功を最優先。来年3月までの半年間は、波風を立てず融和に努める構えのようだ。》と、「安全運転三原則」が、もっぱら国会運営のための対策である旨を強調している。

 なるほど。
 本当だろうか。
 もし仮に、首相が上記の「三原則」を指示しているのだとしたら、野田さんの真意はむしろメディア対策にあるはずだ、と、そう受け止めるのが自然なんではなかろうか。

 というのも、政権発足直後に鉢呂前経産相が「死の町&放射能」発言で辞職したことを考えれば、首相の危機対応は対メディアのリアクションとしてごく自然ななりゆきだからだ。

 ポイントは二つある。
 一つ目は、野田さんの「三原則」が、メディア対策に限定した注意事項に過ぎないのかどうかだ。これが、単にマスコミ対策であるのか、より包括的な意味を含んだ政権運営のための内閣の行動原則であるのかによって、話はだいぶ違ってくる。

 二つ目の論点は、記事を書いた記者が、「三原則」の意図を本当に「与野党&対官僚対策」であるというふうに評価していたのかどうかだ。記者は、もしかすると、野田さんの反応が、実のところメディアの揚げ足取りへのリアクションであることを感知しつつトボけていたのかもしれない。だとすると、この記事は二重の意味で底意地の悪いテキストだということになる。

 野田さんは全力で仕事をする気持ちを失っているのだろうか。そして、記者の皆さんは、首相の消極姿勢が自分たちの小姑報道のせいだというふうには、まったく考えていないのだろうか。

 答えは、現段階ではわからない。
 どっちにしても淋しい話だ。私は記事を読んで、なんだか白けた気持ちになった。
 真相は行間に漂うばかり。何もわからない。

 「いかにも日本的な」という論評の仕方を、私はいかにも日本的な逃げの打ち方であるというふうに考えている。だから、この論法は本来なら採用したくないのだが、本件のありようがいかにも日本的な事なかれ主義の様相を呈している以上、仕方がない。三原則は、いかにも日本的な解決である、と、そうまとめないと、この話はどうしても着地できない。なんとも日本的な事態だ。

 ついでに申せば、本件をめぐる報道には、いかにも日本的な横並び志向がうかがえる。また、その論評には、いかにも日本的な責任回避の姿勢が見え隠れしている。ということは、この話題は、背景から何からをひっくるめて、一から十まで、どこまでも日本的な、徹頭徹尾翻訳不能な、ヌエの如きエピソードなのである。

コメント81

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「厳しすぎるファール判定と「野田三原則」」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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