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もっと生かそう!日本人が大好きな水族館

圧倒的な集客数を生かし持続可能な環境を考える場に

  • 安部 義孝

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2011年10月12日(水)

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 動物園や水族館は世界各国にあります。なぜ、人間社会にこうした施設が必要なのでしょうか。動物園や水族館は、珍しいものを間近に見たいという人々の願望を満たしてくれますが存在意義はそれだけではありません。動物園や水族館の存在は、英国の政治家でもあり哲学者でもあったフランシス・ベーコン(1561~1626)の哲学にさかのぼります。

アクアマリンふくしまの「潮目の大水槽」。黒潮と親潮は福島県沖で出会う。大水槽は潮目の海を象徴するが、東日本大震災で大きな被害を受けた(写真提供:アクアマリンふくしま、以下同)

 ベーコンは「知は力なり」の言葉で知られ、近代科学の祖とも言われる哲学者です。事実の観察、実験によって結論を導き出すベーコンの帰納法は、今日の科学技術の基礎となったものです。人類の本格的な自然支配のはじまりともいわれます。動物園や水族館もその存立の源をたどると、単なる娯楽施設ではなく、「生きた博物館」として人々に自然を理解する機会を提供する場です。水族館は、動物園の園内施設として下等な水生生物の展示を受け持つ施設でした。今日では、独立施設としても存在するようになりましたが、本来は水辺の生物の「生きた博物館」であり、今日でもそれが本来の存在意義であるということができます。

 地球の表面の70%を占める海洋と、湖沼河川の水辺の自然をテーマにして、楽しみながら学ぶ水族館がいま注目されています。水環境は、世界の人口増や地球温暖化などの地球規模の環境問題のなかで重要な位置を占めています。また水域の持続可能な利用、漁業のありかたについての議論も盛んになっています。これらの問題をテーマにして水族館がその教育的機能をいかに発揮すべきかが問われています。

欧米と乖離する日本の運営意識

 わが国には世界の20%、約70の水族館があります。日本人の水族館好きは、四囲海洋であり、長い海岸線をもち、鯨をさえ余すところ無く利用する食文化があることと無関係ではありません。この意味では、世界の水族館をリードする資格があります。

 一方、民間水族館が約5割を占め、イルカや海獣類のパフォーマンス施設を併設する水族館が数多くあり、娯楽的な要素によって経営としても成り立っていますが、スタンダードの水族館の姿を追求する欧米の水族館とは運営の側に意識の乖離があるのが日本の水族館の姿でもあります。

 わが国の1960年代の標準型水族館の展示水準は多くの他の文化施設同様に、欧米の水準とはかなりの懸隔がありました。水槽内に生息環境を再現する展示の面では東京都葛西臨海水族園でやっと欧米並みの水準になったという感慨がありました。その後、大阪、名古屋、沖縄など、多くの大型水族館が現れ、展示水準は目覚ましい向上をとげております。

蛇の目ビーチの俯瞰(アクアマリンふくしま)

 それまで、やや閉鎖的であった水族館界も国際交流が盛んになりました。フランスのモナコ海洋博物館が1960年、1988年と過去に2回主催した「国際水族館学」会議は、グローバルな水族館交流の始まりとなりました。第3回は「世界水族館会議」と名称を変えてボストン、ニューイングランド水族館が主催しました。それを引き続いて1996年、筆者の所属した東京都葛西臨海水族園で第4回世界水族館会議を主催しました。テーマは「共生・水の惑星」としました。東京会議以降、4年に1回の開催が決議され、オリンピックイヤーに各大陸もちまわりで開催されています。

 2000年には伝統のモナコ海洋博物館に戻り、2004年にはカリフォルニアのモントレー湾水族館が主催しました。2008年北京オリンピックの年には上海海洋館が名乗りをあげ、10月に開催しました。2012年は南アフリカのケープタウン水族館が開催予定です。

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