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マキアヴェッリは言う。「『好機』とは深刻な危機のことだ」

『君主論』ニッコロ・マキアヴェッリ著

2011年10月13日(木)

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マキアヴェッリの悪いウワサ

ニッコロ・マキアヴェッリ(1469-1527)には悪いウワサがつきまとう。

……目的のためには手段を選ばない危険な男。
……陰謀家だ。
……権力維持のためにはどんなに残虐非道なことでもやってのける専制政治のアドバイザー……。

すべては彼が書いた一冊の本、『君主論』のせいだ。パラパラとめくってみる。確かに唾を吐きたくなるような言葉が次々と目に飛び込んでくる。

君主、特に新しい君主は、人間が良いと考える事柄に従ってすべて行動できるものではなく、権力を維持するためには信義にそむき、慈悲心に反し、人間性に逆らい、宗教に違反した行為をしばしばせざるを得ない、ということを知っておかなければならない。

経験によれば、信義のことなどほとんど眼中になく、狡知によって人々の頭脳を欺くことを知っていた君主こそが今日偉業をなしている。

賢明な君主は信義を守るのが自らにとって不都合で、約束した際の根拠が失われたような場合、信義を守ることができないし、守るべきではない。
もし人間がすべて善人であるならば、このような勧告は良くないであろうが、人間は邪悪で君主に対する信義を守らないのであるから君主もまたそれを守る必要はない。

争乱のフィレンツェ、分裂するイタリア

悪の必要性、残酷の有用性、それから恐怖の効用。もしも平和な時代にこんな話をしていたら、マキアヴェッリは気味の悪い危険な男だ。しかし、彼がこの本を書いたのは16世紀初めのイタリア、フィレンツェだ。

そのころは、イタリアという「ひとつの国家」は存在していなかった。ローマやヴェネツィア、フィレンツェ等が、それぞれ別の都市国家を形成し、対立していた。しかも、そのほとんどの国内で権力者の失脚と復権、政治勢力の分裂と統一が繰り返されていた。
混乱し流動する政治。四分五裂のイタリア。
そのような国はどうなるだろう。
周辺の強国に干渉され、侵入され、蹂躙されるに決まっている。
そんな時代の、そんなイタリアだったのだ、マキアヴェッリが活動した舞台というのは。

1498年、29歳のときから、マキアヴェッリはフィレンツェ政庁の官僚として軍事や外交の仕事に15年間従事し、政変によって失脚すると、今度は15年間の浪人生活(あるいは文筆生活)を送って58歳で没したという。
職を失って2年目のことだったらしい、彼が『君主論』を書いたのは。

君主をプロデュース

不安定な状況の真っただなかで、マキアヴェッリは一生懸命に考えていた。
どうすればイタリアから外国勢力を駆逐し、政情を安定させることできるだろう。
いや、答えはわかっている。
小国に分裂しているイタリアを統一し、外国の干渉をはねのける力を持つことだ。
しかし、どうやって統一する?

マキアヴェッリはフィレンツェ共和国で生まれ育った、根っからの共和主義者だ。しかし、それ以上に現実主義者だった。彼は自分が置かれたこの状況において、最も可能性のある方策を選ぼうと思う。

他国に脅かされている今、理想論を語っている余裕はない。強力な君主によるイタリア統一、そのほうがよほど現実的だ。
よし、オレはイタリアを統一する君主とその大事業をプロデュースしよう。手に入れた領土を確実に安定させていき、ついには統一を実現する、最強の君主を育て上げてやる!

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三品 和広 神戸大学教授