• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

ボーカロイドビジネスの特徴

~初音ミクがネギを手にしている理由~

2011年11月7日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 初音ミク? 知ってるよ! すごく人気のあるキャラクターだよね!
 初音ミクという存在を、そういった形で理解している人も多いでしょう。
 でも、それは、いちばん、やっちゃいけないことです。

 そういう「ありきたりなキャラクタービジネス」に沿って理解しようとした瞬間、あなたは、けして初音ミクを理解できなくなります。なぜなら「初音ミク」は、もともとパソコン用のソフトに過ぎないからです。

 それは、ヤマハが開発した「ボーカロイド」という音声合成技術によって歌を歌ってくれるプログラムであり、これがあれば、初音ミクをボーカルとした楽曲が誰でも作れるようになる――という便利なソフトに過ぎません。

 初音ミクは、ただのソフトですから、自力では何もできません。ユーザーが「がんばってメロディを作り、歌詞を入力し、初音ミクに歌わせ、それを発表」して、やっと輝き始めます。ユーザーの努力によってのみ、その魅力を増していく、というキャラクターなのですね。

 発売から4年。数万人ものアマチュア作曲家たちが曲を作ってきました。そんな努力の積み重ねによって、この緑色の髪をしたキュートな女の子は、膨大なオリジナル楽曲を持つ、世界に羽ばたくポップ・シンガーにまで成長したのです。

 ここに、従来のキャラクター・ビジネスとの決定的な相違点があります。

 勘のいい人は、もうおわかりでしょう。初音ミクというキャラクターには「原作者」に当たる人がいないんです。初音ミクの魅力を高め、このムーブメントを作り上げたのは、世の中にいる膨大なユーザーたちの総力だからです。

 言い換えるならば、数万人ものユーザー全員が「初音ミクの原作者」として位置付けられている、と考えることもできるでしょう。これが、初音ミクのムーブメントの最大の特徴です。

すべてのユーザーが原作者になる

 コミックならば、そこに登場するキャラクターには「原作者」が存在します。そのコミックを描いた漫画家が、そうです。

 アニメでも小説でも同じです。そこには必ず原作者がいて、その人が「わたしが、このキャラクターを産み出したのだ」と主張する権利を持ちます。その権利は、著作権などの法律によって、しっかりと守られています。

 従来のキャラクタービジネスというのは、そういう前提のもとに展開するビジネスです。キャラクタービジネスというのは、ひとことでいえば「その権利を切り売りし、人気を発展させるビジネス」ですからね。そのキャラクターの権利を持つ人が、アニメ化する権利、映画化する権利、ゲーム化する権利などを、それぞれ他者に付与。さらに人気を高め、そこで得た利益が原作者に還元される――というシステムによって成立しています。

 でも、初音ミクは違う。

 「初音ミク」というソフトを製作・販売したのはクリプトン・フューチャー・メディアという企業です。それを支える根幹技術「ボーカロイド」という音声合成技術を作ったのはヤマハという企業です。

 しかし、初音ミクに魅力的な歌を提供し、世界に名を知られる人気シンガーに押し上げたのは、彼女のために曲を作った「世の中に無数にいるアマチュアたち」にほかなりません。ユーザーたちの作品(楽曲)が初音ミクの人気を高め、このムーブメントは産み出されているんですね。

 初音ミクというキャラクターの人気を高めたのは、この人だ! この人こそが原作者だ! と特定できるような人物は、どこにも存在しないんですよ。

 その結果、どうなったか? 初音ミクに関わるユーザー(やファン)全員が、「このムーブメントは、わたしたち全員で作り上げたものだ」という、いわば暗黙の了解みたいな意識を共有するようになっているのです。全員が仲間である、という連帯感のようなもので繋がっているともいえます。

なぜ初音ミクはネギを持っているのか?

 それを象徴するのが、初音ミクが手にしている「ネギ」かもしれません。

 ネット上に膨大に存在する、初音ミクのイラストを、いろいろと探してみてください。なぜか、ネギを手にしているイラストが大量に発見できるはずです。

 最初に言っておきますが、もともと、初音ミクには、そんな設定はありません。

コメント0

「ゲームビジネス新潮流」のバックナンバー

一覧

「ボーカロイドビジネスの特徴」の著者

野安 ゆきお

野安 ゆきお(のやす・ゆきお)

ゲームジャーナリスト

ファミコン時代からゲーム業界に参加。1000本以上のソフトを体験し、100冊を超えるゲーム攻略本制作に参加している。ゲーム雑誌編集部、編集プロダクションを経て、現在はフリーランスとして活動中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

環境の変化にきちんと対応して、本来提供すべき信頼されるサービスを持続できる環境を作り出さなければならない。

ヤマトホールディングス社長 山内 雅喜氏