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半年後に飲めるぞ「復興麦酒」

「農業の6次産業化」目指す元農水省キャリア夫妻の挑戦

  • 藍原 寛子

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2011年11月2日(水)

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 原発震災で逆風の真っただ中にある福島県の農業。かつてない厳しい環境のなか、「何とか農業を“復興”させよう」と、有機農業に取り組み、地ビール「復興麦酒」作りを始めた元農林水産省キャリア官僚の夫妻がいる。福島県の中通り、二本松市戸沢の山あいに「ななくさ農園」を営む関元弘さん(40)、奈央子さん(37)夫妻である。

 今から5年前、有機農業の素晴らしさにほれ込んで、ともに農水省を退職、関さんが人事交流で勤務したことのある同市(旧・東和町)に移り住んで農業を始めた。

 震災後、「復興麦酒」の製造に向けて、今年7月に酒類製造免許(発泡酒)を取得。訪問した10月28日、関さんは、地ビール造りの第一歩となる大麦まきの準備をしていた。

「農業の自給文化の復興に向けた試み」と話す関さん(二本松市戸沢で)

 会って話を聞き始めるなり、関さんの農業の復興への熱い思いがあふれ出した。

 「正直なところ、地ビール作りは、『売りたい』というよりも、『農家の自給の文化を取り戻していけたら』、そんな思いからです。かつて農家は、自分で原料だけでなく酒まで造れていたのに、法律などで造れなくなってしまいました。農家自体も自給の文化を手放して外部経済に依存し、経済の循環に取り込まれてしまいました。農村には『食糧とエネルギーは自給できるぐらいの量がある』と言われていた頃のように、『何でもできる、何でもある』という農村の姿を提案したいと思います」

 「本来あった農家の自給の文化を取り戻すことで、農業が活性化していくと信じています。そういう意味で、私の言う復興とは、原発災害からの復興だけではなくて、農業が本来持っていた自給文化の復興でもあるんですよね」

有機農業にあこがれて農水省退職

 関さんは東京都出身で1997(平成9)年に農水省に入省、国際部で国際協力関係を担当した。2年後に人事交流で東和町役場に出向したときに、地元の農家との交流が生まれ、農業の素晴らしさを体験した。農水省に戻って生産局生産資材課に勤務。そこでBSE(牛海綿状脳症)問題が発生し、食品のリスク評価をする食品安全組織の設立準備に携わった。

 「食品安全の仕事を通じて、科学的な見方ができました。生産とは違う分野で、消費者側から見るという得難い経験をしました」

 農水省に戻った後も東和町で体験した有機農業への思いが募り、先に関さん、次いで奈央子さんがそれぞれ退職。夫婦で福島に移住して農業に就き、現在は10カ月の長女と3人で暮らす。

 いわゆる「キャリア官僚」の職を離れて選んだ農業の道。

 「後悔するということはありませんね。まいた種がちゃんと発芽して、収穫できるのが、とてもうれしい。毎年ワクワクしますね。自然の中でいろいろ工夫しながら作業するのも楽しくて、農業は良い仕事だと思います。いろんな人とつながっていける可能性も秘めているのも、農業の恩恵です」。さわやかな笑みがこぼれた。

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