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放射能「集団疎開」の成果と課題

福島朝鮮学校が新潟に、市民団体がネットワーク結成の動き

  • 藍原 寛子

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2011年11月9日(水)

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 原発事故に伴う放射性物質への不安から、今年5月中旬以降、新潟県で学校集団疎開を実施している学校がある。郡山市田村町にある福島朝鮮初中級学校(ク・ヨンテ校長、以下、福島朝鮮学校)である。現在、新潟県新潟市の新潟朝鮮初中級学校(リ・トンソン校長、以下、新潟朝鮮学校)の校舎で学び、併設の寄宿舎で児童生徒と教師らが共同生活を送っている。

 学校集団疎開に関しては今年6月、郡山市内の小学生が市を相手取り、集団疎開を求める仮処分申請をしたが、県内の公立小中学校で集団疎開をした学校はまだない。収束が見えない福島第一原発事故による心理的な影響下という特殊事情の中で行われている「現代っ子」の学校集団疎開はどういうものなのか。新潟市の新潟朝鮮学校を訪ね、半年の疎開生活の実情とともに、福島朝鮮学校が集団疎開を決めた背景や、疎開に向けた両校の態勢づくりについて取材した。

「外で遊べてうれしい」

 新潟朝鮮学校は、新潟市中心部から車で30分の郊外、新潟空港にほど近い住宅街の中にあった。校舎と隣接する寄宿舎2棟(うち1棟は、現在は使われていない)と体育館、校庭。

 新潟朝鮮学校の児童生徒は初級学校(小学校)7人、中級学校(中学校)7人で全校児童生徒14人、教師6人の小規模校で、震災前は中級2人、初級1人の合計3人が寄宿舎生活を送っていた。

 ここに震災後5月15日から、福島から避難してきた初級11人、中級5人の合計16人の児童生徒が加わり、一緒に学校生活を送ることになった。全児童生徒数は30人と倍になり、寄宿舎生活を送る子どもは19人になった。

 1階の音楽室に入ると、初級1~3年の授業が行われていた。福島、新潟両朝鮮学校の子どもたちが机を並べ、ピアノに合わせて、簡単な遊びを交えてリズムを学んでいる。両校とも紺地の制服だが、左胸に赤色や青色の校章が刺しゅうされた制服を着ているのが福島、青色だけの刺しゅうが新潟の児童。中級の男子は、赤いネクタイが福島、青は新潟だが、既に集団疎開開始から半年を過ぎており、わずかな制服の違いを除けば、両校の児童にほとんど違和感はない。

 午前中の授業が終わると、全員が食堂に集まって給食の時間が始まった。パートや保護者、ボランティアの人が作ってくれた焼きそばとサラダ、新潟の韓国の人が差し入れをしてくれたキムチなどがおかずに並ぶ。教師と児童生徒が隣り合い、楽しく会話しながら、和やかなひと時が流れた。

 午後の授業が終わるとクラブ活動と自由時間。子どもたちは校庭に飛び出し、絵を描いたり、ブランコで遊んだり、サッカーをしたりと、思い思いの場所で過ごす。みな、生き生きとした表情で、思いきり体を動かしている。

「全員で来ました」と疎開をした当時を語る福島朝鮮学校のク校長

 ク校長によると、新潟に着いた直後、子どもたちに「外で遊んでいいよ」と許可すると、福島の子どもたちは広い校庭を好きなだけ走り回り、ブランコや鉄棒、うんてい、砂場などで遊んだという。「大人が見ていて『もういいだろう』と言っても、遊ぶのをやめませんでした。外で好きなだけ遊びたかったんですね。ストレスもあったと思います。見てください、子どもたちが次々に遊んだから、こんなに削られてしまって」。ク校長が指差したブランコの下の土は、子どもたちの足で削られ、大きなくぼみになっていた。

 「新潟ではいつも縄跳びで遊んでいる」という、福島から避難してきたコ・アリンさん(初級2年生)も、この日校庭で遊んでいた。「福島にいる時は公園で遊んじゃダメって言われてた。今はずっと遊べるから、うれしい」と、片時も縄跳びを離さず、笑顔で跳びながら答えてくれた。それでも、福島にいるお母さんのことを聞くと、「寂しいです。泣いちゃったりもします」と、うつむいた。

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