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「旦那さんには実は第2妻がいた」

一夫多妻の本質は社会救済策、厳しい条件もある

  • 佐藤 兼永

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2011年11月22日(火)

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 今回と次回は、一夫多妻制の話を取り上げる。読者の中には「イスラム教って一夫多妻を認めてるんだよね」と違和感を覚える人がいるのではないだろうか? イスラム教やムスリムを知ろうとする時に避けて通れない、理解を阻む壁の1つだろう。日本人には馴染みの薄いこの制度をどのように理解すればよいのか、を考える。さらに「イスラム教とムスリムをどう理解するか」というテーマへとつなげていきたい。そのために、まず、“歪められた”一夫多妻の話から始めよう。

イスラムの結婚には証人と婚資が必須

 日本人ムスリムの永野将司さんはブログやツイッターでイスラム教について積極的に発信をしている。彼は「脱力系ムスリム」を自称しつつも、「女性の人権の問題などについて、僕はすごく配慮してやってる」と自身のスタンスを語る。接する相手が感じる心理的なハードルが低いのか? そんな彼には、日本人ムスリムから本音と弱音の混じった相談がしばしば持ちかけられる。例えば、「断食しなきゃいけないんでしょうか? 断食ってこんなにつらいんですね」といった感じだ。

 その中には「第2妻の問題も、もちろんあります」(永野さん)。

 イスラム教上の結婚は、男性の証人を2人を立て、マハルと呼ばれる「婚資」について定めるなど婚姻契約を結ぶことで成立する。ちなみにマハルは新郎が新婦個人に対して支払うお金だ。「結納金のようなもの」と解説されることもあるが、離婚時に支払うマハルもある。しかし永野さんに相談を持ち込んだ、ある日本人女性の結婚は、この基本的な要件を満たしてなかった。

 「結婚する時に友達が1人付き添ってくれただけだから証人は1人。そしてマハルも無しでした。マハルが無かったから、離婚する時に悲惨な目に遭いました」

 「その女性は、何か分からないまま、イスラムに入らされたと言ったんですよ。イスラムに入信する時は、本人の意志を必ず事前に確認します。『あなたの意志で入信しますか?』って。またイスラムの結婚には、『この結婚はあなたの意志ですか?』という確認の作業があります。彼女の場合は、そういったものをはしょって既成事実をつくった」(永野さん)

 問題はこれだけではない。

 「もっと突っ込んで言っちゃうと、旦那さんには実は第2妻がいたという。で、第2妻の方にべったりになって、彼女には生活費も入れない生活が続いた。そして、『お前もういらないから』という感じで、離婚を言い渡した」(永野さん)

 「この旦那さんは、イスラム法に則った結婚もしてない。第2妻にべったりになるのもイスラム教的にアウトじゃないですか。で、生活費も入れないというのは、さらにアウト」(永野さん)

 ただし、このカップルは日本の民法上、婚姻関係にあった。それなら離婚に際して慰謝料を請求できるのではないか? 永野さんも当然そう考え、女性に尋ねると、別の問題が明らかになった。

 「弁護士が戦ってくれないんですよ。なんでかって言うと、弁護士にイスラムの知識が無いから、『イスラムは第2妻がオッケーなんじゃないか』ってことで戦う気がない。だからその案件に着手してくれないんです。かといって、自分で裁判戦える人って、そうそういないじゃないですか」

一夫多妻は平等に扶養することが条件

 ここでイスラム法が複数の女性との結婚をどのように定めているか見ておこう。そのために、この連載でたびたび登場している日本人ムスリムの前野直樹さんに再び登場してもらう。前野さんはシリアに留学し、イスラム法について学んだ。スンニ派イスラム法学における一夫多妻が合法となる条件について、彼に解説してもらった。硬めの表現だが、法学上の解説なので、厳密を期すため彼の言葉をそのまま紹介する。

 「シャリーア(イスラームの教え)の源泉たるコーランを参照する限り、4人までの一夫多妻は扶養面での平等を条件とした必要時の社会救済策であり、平等が無理ならむしろ一夫一婦が推奨されています(コーラン第4章第3節参照)。もう一つの源泉たる預言者ムハンマドの慣行を見れば、その家庭生活の在り方から、基本は一夫一婦であり、その後、神のご命令による様々な英知がゆえに一夫多妻となったことが分かります」

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