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大阪の「維新」とまだるっこしい民主主義

2011年12月2日(金)

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 もやもやしている。
 今回もわかりにくい話を書かねばならない。

 「まとまりがない」「長い」「何を言いたいのかわからない」というコメントが、毎週、何通か届く。
 ご指摘の通りだと思う。

 文章を「情報伝達のツール」であるとする考え方からすれば、私が本欄に書いている原稿は、かなり完成度の低いドキュメントということになる。でなくても、ビジネス文書の作文法としては失格だろう。

 しかしながら、文章は、情報を伝達する以前に、人間が思考を展開する際のベースになるものだ。

 自分の考えがはっきりしていないことがものを書く動機になるケースすらある。人は、文章を書くことによってはじめて、自分の精神と真に直面することができる生き物だからだ。その意味では、必ずしも一本道の論理だけが尊いわけではない。たとえば落語のように、要約不能な「行間」や、内容とは別次元の「ニュアンス」に真価を宿しているタイプのコンテンツもある。文学と呼ばれるものは、おしなべてそういうできあがりかたをしている。自分が書いている原稿を文学だと言い張るつもりはないが、コラムは報告書ではない。営業日報よりは落語に近い。何が言いたいのかわからないのは、むしろ当然だ。私自身、自分が何を言いたいのかを知るために原稿を書いていたりするわけだし。

 なお、本欄のテキストの長大化傾向について、「原稿料の水増しを意図しているのではないか」という疑念が何度か寄せられているが、それは誤解だ。当コラムの原稿料は従量制ではない。一本いくらの定額制だ。書き手にとっては、たくさん書くほど、行数あたりの単価が下がる仕様になっている。それでもなお私が毎回長い文章を書いているのは、考えがカタチをなすまでに、それだけの道筋が必要だからだ。他意はない。つきあいきれない人は、アタマが良すぎるのか、でなければ悪すぎるのだと思う。

 今回書こうとしている主題は、文章に簡潔さを求める声と無縁ではない。
 この数カ月、私は、「明瞭さ」「効率」「果断さ」「クイックネス」「簡潔さ」「一貫性」「合理性」を求める声に、毎日のように直面している。上記の単語を列挙しているのは、当コラムのコメント欄に感想を書きこんでくる面々だけではない。日本中の、実に多様な立場の人々が、同じような声をあげている。

 私には、彼らの性急さがいったいどこからやってくるのか、それがよくわからない。単に私が浮世離れしているのか、でなければ、時代遅れの人間になりつつあるのか。答えはいまだに見つかってない。

 オリンパス問題、TPP、暴対法、大阪での選挙結果、自転車の車道通行問題、各種のコンプライアンス関連事案――思うに、これらのヘッドラインは、いずれも同じ課題をはらんでいる。すなわち、ここに列挙した話題は、すべて、「グレーゾーン」に対する寛容さの欠如に関連しているのだ。

 私たちは、自分たちの中にある「日本的」な、「なあなあ」の、「曖昧」で「無原則」なあれこれについて、うしろめたさに似た感覚を抱いている。そして、その一方で、グレーゾーンを取っ払う作業にうんざりしてきてもいる。別の言い方をするなら、われわれの社会は、白と黒との境界領域にある、「不明瞭さ」や「不効率」や「ルーズさ」に対して、鷹揚に構える余裕を失っており、他方、グローバリズムに取り込まれたローカルな組織に独特な、無力感に苛まれているのだ。

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「大阪の「維新」とまだるっこしい民主主義」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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