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また福島第一原発に戻りたい

68歳、元原発作業員の願い

  • 藍原 寛子

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2011年12月7日(水)

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 「原発に最後のご奉公をしたい。要請があったらまた行きたい。というか、また行きます。ただ、今は左の肩が動かないので、みんなに迷惑をかけてしまうかもしれない。行けばみんながサポートしてくれるとは思うが、立場上、作業員の方と同じ条件で原発に入らないといけないと思う。完全に肩を治して、また原発に入ります」

いわき市内のアパートで避難生活を送る但野さん

 律儀な性格をそのまま表すように、6畳間のベッドの脇に居ずまいを正し、熱く「原発への思い」を語る。その人は但野(ただの)勝郎さん、68歳。

 震災当時、富岡町在住で、同町の原発関連会社で東京電力福島第一原子力発電所、第二原子力発電所の現場の安全を守る災害防止担当者を長く務めており、3月11日の地震のその時も、福島第二原発の現場に入っていた。震災後は郡山市の避難所で避難生活を始めた。避難所閉鎖によって、同市内の宿泊施設へ移動。会社も解散になった現在は、いわき市の借り上げアパートで避難生活を送っている。

 原発とともに40年。但野さんを訪ね、原発震災や被災者の現状をどう見ているのか、話を聞いた。

先祖代々の土地・富岡町

 但野さんは富岡町に生まれ、地元の中学を卒業後、上京して兄の事業を手伝うが、後に故郷に戻って原発関連企業に就職。以来、福島第一、第二原発の現場を歩いてきた。どんな状況でもこつこつと真面目に働いて、5人の子どもを全員、大学にあげることもできた。

 但野さんにとって地元・富岡町は「先祖からの土地」という。明治生まれの祖父、芳蔵さん(故人)は古くからの地主で、富岡町の夜ノ森駅を建設したり、周辺の土地を整備したり、水源を拓いて地域に貢献してきた。原町(現在の南相馬市原町区)で、地元なら誰でも知っている名実ともに名所となった無線塔の建設に参画した実業家の1人。その無線塔は現在は取り壊されたが、関東大震災では、米国に向けて災害発生の第一報を打電した拠点にもなった。父の進さん(故人)も地元の人たちと共に、富岡の名所となった桜並木やツツジを植え育ててきた。先祖代々、地域のために貢献してきたという自負がある。

 「関東大震災を発信した無線塔を建てた子孫が、今度の震災で被災するっていうのも何かねえ…。富岡は先祖が開拓した土地だし、避難しないで前のように住めるのならやっぱり帰りたいよ。でも難しいべなあ。あと何年か、早ければ3年で帰れるかどうか。そんな感じだろうね」。原発事故の影響で放射性物質に汚染された故郷への思いと反比例して、帰還への見通しは簡単ではないと但野さんは考えている。

あと10分遅れたらここにはいなかった

 3月11日のその日、但野さんは作業員とともに福島第二原発の廃棄物処理建屋地下2階にいた。昼食を食べて地下2階に下りていくと、ぐらぐらと揺れ始め、立っていられない状態になった。驚きと恐怖から、大騒ぎになったという。

 「『とにかく落ち着け』と言って、みんなを落ち着かせた。退避の方針を確認して全員を点呼し、作業者を退避させた。まだ余震が続いていたなかで、持ち場を一回り点検して異常ないと確認したあと私も退避したところ、間もなく津波がきた。全員無事で無傷だったのは幸いだった。あと10分か15分ぐらい遅れたら、たぶん今ここにこうしていなかったでしょうね」。間一髪で助かった様子を語る。

 その後は、通常10分か15分ぐらいで着く自宅までの道のりを、大渋滞の中、2時間かけて帰宅。他の町民とともに避難生活に移った。

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