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オトコが唯一泣いていい場所、それが映画館!?

人生の課題映画を語ろう 第5回

  • 岡 康道,小田嶋 隆,清野 由美

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2011年12月12日(月)

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(アメリカ映画「イントゥ・ザ・ワイルド」を観て・・・)

小田嶋:結局、俺なんかもそうだったけど、プライドが異常に高いくせに自信がない(思わず太字で強調)わけ。社会で自分の収まるべきスペースがどうしても見つからないから、取りあえず、そのままでいる言い訳として、困ったら死んじゃえばいいや、みたいなことを考えていたりする。それが一種、精神の安定材料になっていたりもするんだけど、それをやっていると、いつか死なないと精算できない、という深みにはまっていってしまう。

―― 小田嶋さん、臨場感がありますね。

小田嶋:仲間うちで、それで死んじゃったやつがいるから。

―― 小田嶋さんもそっちに行ってもおかしくなかった?

小田嶋:危なかった。

 ・・・という前回からの続きです。この辺り、よろしければ、小田嶋さんがみずからしたためた名コラムでもどうぞ。(→「ピース・オブ・警句」2011年11月25日「生意気な「談志」と二人の友だち」)

小田嶋:以前に岡との話にも出た、牧師さんをやっているモリモトアンリと30年ぶりに会ったんだけど、彼もやっぱりすごく危ないところにずっといたみたい。

:アンリか。

コラムニスト 小田嶋隆氏(写真:大槻 純一、以下同)

小田嶋:お互い、おっさんになれてよかったな、という話をしたけど、やっぱりアンリも20代、30代はとてもひどい危機の中にいたみたいで。まあ、牧師なんていう場合はそうだろうけどね。

:だいたい、自分自身の死と向き合わないと、牧師という職業には行かないだろう。

小田嶋:俺、高校1年のときにアンリと2人で地下鉄6号線(編注:都営三田線)が通ったばかりの千石駅に、忍び込んだことがあるんだよ。

:俺は千石駅って、使った覚えはないんだけど。お前、使ったの?

小田嶋:いや、地下鉄が通る前に、駅だけできていたんだよ。その地下に線路が通っていて。

:うんうん、そうだった。

小田嶋:それで、アンリと2人で工事中の駅のシャッターを開けたら、がらっと開いちゃったことがあったんだよ。

―― えっ?

都営三田線スタンド・バイ・ミー

小田嶋:そう、えっ? と言いながら、モリモトが先にどんどん入っていっちゃて。だから、あいつは当時、ちょっとヤケになっていたんだね、雰囲気として。

:それ、聞くからに危険だよ。

小田嶋:あいつが階段を下りてっちゃうから、俺も付いていかざるを得なかったわけだ。そうしたらホームができていて、線路もあるじゃない? 線路があるぜ、これ巣鴨まで続いているのかな、って2人で線路の上を歩いてたら、向こうから電車が来ちゃったんだよ。

:うそ。

小田嶋:それで、2人して、わーって柱の陰にへばりついたら、電車は急ブレーキをかけて止まったけど、地下鉄のおやじにつかまって。それで散々説教されて帰ったことがあるんだけど。

:当たり前だよ(苦笑)。

―― 小田嶋さん、この期に及んで、まだそんな青春のエピソードがあったんですね。

小田嶋:おっかない話でしょう。うかうかすると轢死するという。

:うかうかどころか、即、じゃないか。

小田嶋:地下鉄の線路を歩くなんて、もってのほかですよ。

―― そういう「スタンド・バイ・ミー」なことをやっていたんだ。

小田嶋:はい。まさしく「スタンド・バイ・ミー」と「イントゥ・ザ・ワイルド」のちょうど中間ぐらいですね。

:アンリも困ったやつだなあ。

―― 小田嶋さんは死を賭して付き合ってあげたんですね。

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