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敬語にまどわされる皇室との距離感

2011年12月9日(金)

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 藤村官房長官が、11月25日の会見の中で、「女性宮家の創設」に言及して以来、皇室関連報道は、久々の活況を呈している。女性皇族の私生活に直接言及した話もあれば、関係の無い記事もある。中吊りの見出しは、皇室一色――いや、さすがに一色ではない。でも、どこの雑誌も必ず一本は皇室関連の話題を載せている。

 で、主だったところの記事をひと通り見渡してみたわけなのだが、これがわからない。

 私の側の読解力の問題もあるのだろうが、どの雑誌を読んでみても、いったい何が言いたいのか、何のために記事が書かれたのかが、読み取れないのだ。
 事実関係は、もとより、ほとんど明らかにされない。記者が記事を書くに至った経緯も省略されている。女性宮家に関する編集部の見解も説明されていない。
 昔から同じだ。
 皇室関連の記事は、読み取りにくい文体で書かれることになっている。
 理由はおそらく、書いている人間が、自分の意図を隠したいと考えているからだ。
 
 変な話だ。
 言いたいことをはっきりさせたくないのなら、はじめから記事など書かなければ良い。それだけのことだ。
 が、そうもいかないのだな。きっと。

 記事は必ず書かれる。一定期間ごとに、断続的に、あるいは集中的に、時には連載コラムを蹴飛ばしてでも、必ずや執筆される。
 何かが起これば、特集が組まれる。何も起こらない時には、情報が伝わってこないことをいぶかるカタチで憶測記事が制作される。皇室記事には固定客がついている。だから編集部は、記事の予定枚数を年間のカレンダーにあらかじめ書き込んでいる(はずだ)。

 書き手は、不敬に当たらない範囲内で、あたう限りスキャンダラスな記事を書こうとする。
 と、記事の内容が失礼である分だけ、言葉つきはますます丁寧になり、かくして、真綿に針を忍ばせるみたいな文体の、どうにも底意地の悪い嫁いびり原稿が刷り上がってくることになる。
 毎年同じだ。
 なぜなのか、お盆と年末が近づくと皇室関連の小姑報道記事が掲載される。しかも、口さがないゴシップに類する、品の無いテキストほど大きな見出しを獲得するのだ。

 久しぶりに大量の皇室記事を読んだおかげで、気持ちが荒んでいる。
 二時間も読んでいると記事を書いた人間の陰険さが感染して、アタマの右半分が赤木春恵状態になる。あらサツキさん、年末の忙しい時にお店を放り出してお出かけ? なんとまた、ご優雅なご日常をご満喫ですこと。

 今回は、皇室報道について考えてみたい。
 皇室についてではない。
 皇室を中心に展開されている、わたくしどもの社会の陰険さについてだ。
 誤解してはいけない。皇室が陰険だと言っているのではない。
 皇室に言及する時、われわれは陰険になりがちだということを、私は言おうとしている。

 ダイヤモンドが強欲なのではない。
 ダイヤモンドを目前にした人間の中に、欲に目をくらませる連中が現れるということだ。
 皇室は、それに接近する人間の下心を明らかにする。
 また、それは、人々の隠された不満のはけ口になってもいる。
 だから、皇室記事は、皇室自身の問題を明るみに出す以上に、記事を書いている人間の下劣さや、その記事を掲載した媒体の立ち位置をより雄弁に物語ることになるのだ。

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「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

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「敬語にまどわされる皇室との距離感」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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