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ムスリムへの理解の背景にある“外国人性”

“純粋”日本人ムスリムへの理解は上司しだい

  • 佐藤 兼永

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2011年12月13日(火)

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 連載はいよいよ終盤に入る。今回から再び、職場におけるムスリムに目を向ける。

 まず、日本の会社がムスリムの宗教的ニーズ――社内でお祈りすることなど――に対して理解を示すケースが増えていることを再確認する。その上で、日本の会社が示すムスリムへの理解が、本当に社員の多様性を認めることを意味しているのか、疑問を提起したい。そして最後に、会社の理解を得るためにムスリムの側が何をできるのかを見る。

 連載のはじめに3人の会社員ムスリムに登場してもらった。第3回第4回のソリハ・ヒダヤティさん、第5回の樋口美作さん、第6回のイーマーンさんの3人だ。

 日本人男性ムスリムである樋口さんは、1998年までの会社勤めの間、イスラム教への理解をほとんど得られなかった。しかし、2010年古河電気工業に入社したインドネシア人ムスリムであるソリハさんは入社面接を受ける時から会社の配慮を受けてきた。日本人女性ムスリムのイーマーンさんは現在、スカーフを勤務中に被ることは認められていないが、それ以外の面では理解を得られている。3人の例からは、日本社会が徐々にムスリムへの理解を深めている姿が見て取れる。

 この3人とは別に、会社から理解を得ているムスリムを紹介しよう。首都圏のメーカーに勤務するムスタファさんだ。ムスタファさんは現在の勤め先に入社する直前にムスリムになった。そして入社して最初の飲み会で「ムスリムだから酒は飲めない」と説明した。入社から半年以上たってからは、直属の上司から会社内で礼拝する許可を得た。また日本で生まれ育った2世の日本人ムスリムの中には、スカーフを被り大手の金融機関に勤務している人も出てきた。

 しかし、ムスリムに対する日本の会社の理解には、どこかしっくりこない所がある。言い方は悪いが、宗教的ニーズに対する理解を職場で得ているムスリムは、かくれんぼの“おまめ”あるいは“おみそ”のような存在に見なされているように思える。

“外国人扱い”と引き換えに受け入れられる日本人ムスリム

 会社から理解を得られているムスリムの共通項を考えると、“外国人性”が浮かび上がる。金融機関に勤める2世の日本人ムスリムは日本人とパキスタン人のハーフだ。ムスタファさんも、実は“生粋”の日本人ではない。父親の仕事の関係のためヨーロッパで生まれ育ち、北米の大学を卒業した。つまりムスタファさんは帰国子女だ。

 ムスタファさんは、ムスリムであることを打ち明けた最初の飲み会で、上司から「海外では宗教を持たないことは動物と同じと思われるらしいな」と言われたという。つまり、ムスタファさんが帰国子女だからムスリムになっても不思議ではないと思われたわけだ。

 人は、自分と同じであるはずの日本人がムスリムであることを理解しようとする時、そのムスリムが持つ“外国人性”と結びつけるのが、最も自分を納得させやすい方法なのだろう。しかし見方を変えると、そのムスリムを“正式な仲間”と認めないからこそ相手がムスリムであることを許容していると言えないか。

組織の決定権者の理解がカギ

 “外国人性”を全く持たない日本人ムスリムがムスリムとしての務めが果たせるかどうかは、決定権を持つ人、多くの場合、直属の上司の理解が得られるかどうかにかかっている。

 東京にある大手メーカーの関連会社で勤務している日本人ムスリムの例を紹介しよう。彼は30歳の時、それまでの会社を辞めてバックパッカーとして世界放浪の旅に出た。訪れた30カ国の1つ、イランの小さなモスクでムスリムになった。

 帰国して最初の会社に入社した時、社内での礼拝について上司に相談した。しかし上司の理解を得られなかったという。そこで礼拝時間になると、自分の席に着いたまま礼拝の動作を頭に思い浮かべ、心の中でコーランを唱えた。このような状況はけっして満足できるものではなかったが、「イスラム教は働くことも大切だと教えている」と自分に言い聞かせ、納得しようとした。

 2010年の4月になって状況が好転した。勤めていた会社の子会社である、現在の勤務先に出向することになった。

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