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外国人看護師・介護福祉士候補者の現状から移民受け入れを考える

定着には、信仰に対する社会全体の理解が必要

  • 佐藤 兼永

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2011年12月20日(火)

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 今回は、経済連携協定(EPA)に基づいて来日したインドネシア人看護師・介護福祉士候補者にまつわる問題を取り上げ、2つのポイントについて見る。第1は宗教的な問題。第2は受け入れ施設側の態勢や、国家試験にまつわる問題だ。その上で、移民政策の観点から浮き上がる問題について考察する。

宗教的ニーズへの配慮は十分

 まず、受入施設内でお祈りができるかなど、宗教的ニーズへの配慮について見てみよう。

 EPAに基づいて2008年から来日している看護師・介護福祉士候補者のうち、インドネシアから来た人々の多くはムスリムだ。大半の受入施設が彼らの宗教的ニーズに対して一定の配慮をしている。

 東京都八王子市にある永生病院は、2008年から毎年、外国人看護師・介護福祉士候補者を受け入れてきた。現在はインドネシア人2人、フィリピン人4人、計6人の候補者が働いている。

インドネシア、スラバヤ出身のアニク・マフトゥーハさんは、ムスリムである彼女のことを病院側が「とてもリスペクトしてくれます」と言う。「例えば3時くらいに午後のお祈りの時間があります。同僚が『どうぞ、やってください』と言ってくれます。とても安心です。それで礼拝を済ませて、また仕事を続けます。もし3時過ぎても私がお祈りやっていないと、『アニクさん、今お祈り時間ですね。まだやってないですね。仕事中断して、お祈りどうぞ』と言ってくれます」

 永生病院は、礼拝専用の部屋を特に用意してはいない。ムスリムの候補者たちは空いたスペースで礼拝を済ませるという。アニクさんをはじめとする女性ムスリムの候補者たちは、スカーフを被って勤務している。食事に関しては本人たちに任されている。

同僚と談笑するインドネシア人看護師候補者のアニク・マフトゥーハさん。アニクさんの仕事風景を撮影していると、同僚が「取材なの? モデルじゃん」とからかった。「私がイスラム教徒でも、みんながサポートしてくれて、とても安心です」

 永生病院で候補者受け入れの窓口役を務める宮澤美代子さんは、外国人候補者たちの文化を尊重する意義を次のように語る。「異文化の人とか、肌の色の違う人が入って来ることで、『ああ、永生病院っていろんな人たちを受け入れているのだな』っていう認識が広まる。それが病院の中の風通しを良くする。患者さんたちや日本人職員に刺激を与えることにも意義がありますね」。

 国際厚生事業団(JICWELS)の受入支援部長である稲垣喜一さんによると、受け入れに際して多くの施設が、候補者の宗教上の違いへの対応に関心を持っているという。また、国際厚生事業団は候補者に対するブリーフィングの中で、日本における教会やモスクなどの礼拝施設について基本的な情報を提供している。国際厚生事業団は、EPAに基づく外国人看護師・介護福祉士候補者の受け入れ事業における国内唯一のあっせん団体だ。

 受入施設の中にはスカーフを脱いで勤務することを条件にする施設もある。そのような場合も、受入施設と候補者をマッチングする段階で、その旨を伝えるため、候補者は十分考えてから、スカーフを脱ぐかどうか決めることができる。

 ムスリムの候補者を受け入れ始めてから、宗教上の理由でトラブルが発生することはほとんどない――国際厚生事業団の稲垣さんに限らず、候補者本人や、受入施設の担当者が共通してこのような見解を持つ。ムスリムであることが勤務に支障をきたすとしたら、断食月の期間に行う入浴介護業務だけだという。

 断食中は、日の出から日の入りまで、食事だけでなく水分も摂ることができない。入浴介助は温度と湿度の高い風呂場での業務となるため、他の仕事以上に喉が渇く。インドネシア人看護師・介護福祉士候補者の支援団体「ガルーダ・サポーターズ」で候補者の相談を受けている丹マウラニ(たん・まうらに)さんによると、介護福祉士候補者の中には入浴介助をする日だけ、全日あるいは半日断食を休む人がいる。

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