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民主政治で喜劇が担った機能とは

笑う[1]

2012年1月12日(木)

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新生児微笑

 これからしばらく笑うという行為について考えてみよう。笑いにもさまざまな種類のものがある。もっとも原初的なものが、微笑だろう。新生児は生まれたときには泣いているが、その後、満ち足りるとほほ笑むようになる。これは誰かに向けて行われるというよりも、自然発生的なものらしい。寝ているときにも周期的にほほ笑むからだ。これは新生児微笑と呼ばれる。

 この微笑を向けられた者はほぼ抵抗できず、赤子に向かってほほ笑み返すことになる。ほほ笑む赤子と、その赤子をほほ笑みながら眺めている母親は、完全に親密で、自足した世界を築いているようにみえる。ほかに何ものも不要な閉じた世界であり、幸福な世界である。

 この微笑は、他者にたいして悪意のないことを示すだけでなく、他者から行為を獲得するという機能を果たしている。寄る辺ない存在である赤子は、ただ他者の善意による保護でしか生き延びることができないのであり、赤子はこの微笑の力で生き延びるのだといってよいだろう。

 数か月たつと、赤子は他者の顔に向けてほほ笑むようになる。他者の顔が人間の顔として認識されたということである。この段階からは社会的微笑と呼ばれることになる。相手に悪意のないことを示すとともに、相手を好意をもってうけいれていることを示すのである。日本人はあまり笑わない人もいるが、相手にたいして悪意をいだいていないことを示す笑顔は、大切な社会的な機能を果たしている。相手にたいするこの微笑が、笑いの零度だろう。

笑いの機能と性的な要素

 笑いは、このような社会的な絆を作りだす重要な役割を果たしている。ごく古代の時代から、宴会などは笑いの場として、社会的な機能をはたしていた。『古事記』にも、宴会の場での笑いの記述がある。スサノオが機織りをしている天照大神をいたずらをして驚かせので、大神は天の岩屋戸に隠れてしまう。こまった神々は、岩屋戸の前で宴会をする。そこにある神が「神懸りして、胸乳をかき出て、裳緒をほとに押し垂れ」[1]て踊った。すると「高天の腹とよみて、八百万の神、ともにわらいき」[2]

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「民主政治で喜劇が担った機能とは」の著者

中山 元

中山 元(なかやま・げん)

哲学者、翻訳家。

1949年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師