「千堀の「投句教室575・別館」 飛び込め! かわずくん」

Vol.46 「道」を歩くときは、客観性を失っていないか気をつけよう!

抒情的になってしまう言葉の扱いは慎重に

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2012年1月13日(金)

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 季語の宝庫でもある新年、松の内も過ぎまして、かわずくんたちはいかがお過ごしでしょうか? 「日経ビジネス アソシエ」の月刊化に伴って、連動コラムの「千堀の投句教室575」が月に一回のお目見えになりましたが、かわずくんは毎週参上いたしますよ!

 さて、2011年の初荷は堀やん先生です。イトウエルマさんも二回目の登場です!

連載管理人A(以下A):新年のご挨拶には少々遅くなりましたが、今年も、千堀連載の「飛び込め! かわずくん」、「日経ビジネス アソシエ」の連載「千堀の投句教室575」をよろしくお願い申し上げます。

堀本裕樹(以下堀本):2012年も千野さんとともに誠心誠意、皆さんの俳句を楽しみに選句させていただきます。

連載管理人Y(以下Y):お年玉代わりに、心ばかりの読者プレゼントもありますよ! イトウエルマさんのイラスト「字余りちゃん」入りカレンダーです。投句していただいた方から、適当に選んでお送りしますので、ご希望の方は「字余りちゃんカレンダー希望」とコメント欄にお書きくださいね。

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A:適当にって…。特選や秀逸とは別の視点で、両師匠と私たちが選んでお送りしますね。どうぞお楽しみに。

:では、さっそくですが、少し気になった句を観ていきましょうか。

A:はい、こちらですね。

湯気の立つおでん齧って帰る夜道

しののめよめ

田舎道人訥々と冬帽子

菊八

:この二句に共通しているところ、何かわかりますか?

A:え〜何でしょうか? そうだ、「道」ですね。

:そうです、「道」ですね。一句目は「夜道」、二句目は「田舎道」、どちらも「道」を詠み込んでいます。

A:「道」というと、少し寂しい感じがしますよね。フェリーニ映画「道」のせいでしょうかね。あああのメロディーを思い出すだけで哀しい…。

:いや、むしろEXILE「道」やないか?

A:はっ?? 先生今何と?

:コホン。Vol.36(「帰り道、月の光に気をつけて」)でも触れたのですが、やっぱり同じミスを犯す句が多い。

A:初心者が典型的にやってしまうのが、上五か下五に「帰り道」を詠むパターンなのですね。

:今回はそこを詳しく説明します。きっちり復習しましょう。

「帰り道」と置くと、たしかに抒情的になったように作者は思うのですが、読む方からすると、「帰り道」に何かしたんだね、感じたんだね、という、説明だけで終わっていることがほとんどです。「帰り道」の句はだいたい、「さあ五文字足りない、どうしよう…そうだ、『帰り道』だ!」となって詠んだか、最初から「帰り道」ありきで、「帰り道」の雰囲気にどっぷり自ら浸ってしまっている句作りになっています。

A:「帰り道」、を思いついたら用心した方がいい。危険信号なんですね。

:どちらのパターンにも共通していえるのが、その句に対して作者が客観性をきちんと持っていないことです。客観性に欠けていると、読み手には作者の思いや作為が見えすぎてしまって、心に響いてこないわけですね。

A:「はいはい、そういうことね、それがどうしたの?」となってしまう。

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(次ページに続く!)

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著者プロフィール

千野 帽子(ちの ぼうし)

パリ第4大学博士課程修了。京都在住の勤め人・俳人。2004年より休日のみ文筆業。著書に、「東京新聞」連載をまとめた『文藝ガーリッシュ 素敵な本に選ばれたくて。』『世界小娘文學全集 文藝ガーリッシュ舶来篇』(河出書房新社)、「野性時代」連載をまとめた『読まず嫌い。』(角川書店)、読書漫筆集『文學少女の友』(青土社)。「ミステリマガジン」「ジャーロ」にて連載、また「東京新聞」「讀賣新聞」「SPUR」「Figaro japon」「BRUTUS」「HanakoWEST」「yomyom」「週刊文春」「文藝」「文學界」「すばる」「ユリイカ」「真夜中」「小説トリッパー」「早稲田文学」「ダ・ヴィンチ」「週刊読書人」「別冊宝島」などに寄稿。

堀本 裕樹(ほりもと・ゆうき)

俳人。1974年、和歌山県生まれ。國學院大学卒。俳句結社「河」元編集長。河賞、角川春樹賞、北斗賞など受賞。俳人協会会員。実践女子学園生涯学習センター講師。現在、上野一孝代表の俳誌「梓」同人。月1回、定例句会「いるか句会」開催。詳しくは(公式ブログ)で。ツィッターはこちら



このコラムについて

千堀の「投句教室575・別館」 飛び込め! かわずくん

★自分の枠を越えて生まれるアイデア、唸る言い回し、盛り上がるブレスト、「発想」「表現」「伝達」を、5+7+5=17音で鍛える、それがビジネスパーソンにとっての俳句。★ただし、欠かせないことがある。自分とは違う経験、常識、センスを持つ「他人」だ。★限界以上に削り込まれた字数で「全てを伝えきれない」ことを前提に行われるコミュニケーションの面白さは、他人が自分の句を「自分が考えていた意味とは全く違う受け止め方」をしてくれることにある。★自分の中にあったけれど気がつかなかった意味を、他人が見つけてくれるのだ。★ということで、俳句は一人でやるよりみんなでやるのが一番楽しい。★俳句会の王道を進む若き俳人、堀本裕樹師、師匠を持たずストリートで我が道を歩む千野帽子師、両極端のお二人と一緒に、他人の17音に驚き、自分の17音で感動させましょう。コメント欄で待ってます!

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