「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 〜世間に転がる意味不明」

「朝の連ドラ」と「東大9月入試」で考えるグローバル化

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2012年1月27日(金)

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 「カーネーション」(←NHKが現在放映している朝の連続ドラマ)を見た。
 昨年来、聞こえてくる評判がいちいち好評ばかりなので、ずっと気になっていたのだ。

 私は、原則として、ドラマは見ない。特に朝の連続ドラマは、21世紀に入って以来まったく視聴していない。というよりも、生まれてこの方、最後まで見通したシリーズはひとつも無い。たぶん、体質に合っていないのだと思う。「カーネーション」も、だから、無視していた。どうせ前向きでいい人ばっかりが出てくる退屈な女性賛歌なのだろうと、そう決めてかかっていたからだ。

 ところが、「カーネーション」の評判は、日を追って高くなる。
 ツイッターのタイムラインでも、見識の高い人々が、異口同音に絶賛している。これは無視しにくい。とても気になる。直接聞こえてくる評判も、「面白い」「見ろ」という声が圧倒的だ。

 さすがの私も
「これは、いずれ見てみないといけないだろうな」
 と、そんなわけで、去年の11月頃からは、そう思っていた。

 が、現実に私がこのドラマをはじめて視聴したのは、今週に入ってからだ。
 なんという起動のにぶさだろう。古くなったウィンドウズじゃあるまいし、決心してから動き出すのに2カ月もかかっているようでは、この先、コラムなんか書いていられなくなる。天声人語みたいな時事ポエムならともかく――とか、余計な軽口は控よう。反省せねばならない。

 感想を述べる。
 脚本がとてもよくできている。3回分を見ただけだが、それだけでも充分にドラマとしてのデキの良さが伝わってきた。なるほど、これは、傑作だ。

 朝の連ドラなんてどうせ絵空事だと思いきめていた私の予断は、間違っていた。末期症状を呈していたかに見えるテレビも、時にこういうタマを出してくるから油断がならない。どんなメディアでも、才能のある人間が心をこめた仕事をすれば、傑作が生まれる余地は常に残されている。あたりまえの話だが、これは、とても重要なことだ。

 とはいえ、これ以上の感想は述べようがない。ストーリーの全体像を把握しておらず、登場人物のプロフィールもよくわかっていない私が、何十回も続いている続き物の途中のたった3回分を見ただけで、批評らしいことを言うのは不遜でもあるし、なにより初回から視聴している熱心な観客に失礼だ。

 なので、今回は「カーネーション」については、これ以上のことは書かない。
 その代わりに、このドラマを見て感銘を受けた大阪弁の闊達さに関連した話をすることにする。

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著者プロフィール

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

小田嶋 隆

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、小学校事務員見習い、ラジオ局ADなどを経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。近著に『人はなぜ学歴にこだわるのか』(光文社知恵の森文庫)、『イン・ヒズ・オウン・サイト』(朝日新聞社)、『9条どうでしょう』(共著、毎日新聞社)、『テレビ標本箱』(中公新書ラクレ)、『サッカーの上の雲』(駒草出版)『1984年のビーンボール』(駒草出版)などがある。 ミシマ社のウェブサイトで「小田嶋隆のコラム道」も連載開始。



このコラムについて

小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 〜世間に転がる意味不明

「ピース・オブ・ケイク(a piece of cake)」は、英語のイディオムで、「ケーキの一片」、転じて「たやすいこと」「取るに足らない出来事」「チョロい仕事」ぐらいを意味している(らしい)。当欄は、世間に転がっている言葉を拾い上げて、かぶりつく試みだ。ケーキを食べるみたいに無思慮に、だ。で、咀嚼嚥下消化排泄のうえ栄養になれば上出来、食中毒で倒れるのも、まあ人生の勉強、と、基本的には前のめりの姿勢で臨む所存です。よろしくお願いします。

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