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「ラブプラス」を分析するとゲーム市場が分かる

「話しかけてくるゲーム」から読み解くゲームの未来(下)

2012年3月2日(金)

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 ゲーム内にいる女の子が、プレイヤーに向かって、直接話しかけてくる。

 そんなスタイルのゲームは、日本独自のものです。そもそも欧米では、「女の子の魅力を前面に出したゲーム」は、ほとんど作られてきませんでした。ほぼ日本の独壇場といっていい状態です。

 これは、日本が持つ文化的・宗教的なバックボーンが大きく影響しているからでしょう。鉄腕アトムの例を出すまでもなく、私たちは「人間ならぬモノ」が意志を持ち、その存在と共存するという物語を、まるで違和感なく受け入れています。

 これは、日本には、あらゆるものに命が宿るという文化があるからかもしれません。自然物のみならず、道具などにも命が宿ってしまう九十九神(付喪神とも)といった民間伝承もあります。私たちは、「愛情を注いだモノ」には命があるように感じる、という感覚を持っているのですね。

 欧米では、そのような感覚は希薄です。ハリウッド映画を見ればわかるように、「コンピューターが人格を持つ」「ロボットが人格を持つ」ことは、ある種の邪悪なこととして描かれることも多いのです。命あるものを作れるのは「神様だけ」であり、人ならぬものに命を吹き込むのはタブーである、という宗教観があるからかもしれません。

 ゆえに、欧米では、ゲームの中のキャラクターが意志を持ち、プレイヤーに話しかけてくるようなゲームは、さほど多くないのですね。一方、日本では「あたかも命があるようにふるまうキャラクター」を登場させることにパワーを使ったゲームが、出てきやすい環境にあるのでしょう。

それは20年前から始まった

 では、どのタイミングから、そのようなゲームが日本で作られるようになったのでしょう?

 諸説ありますが、「キャラクターの魅力を前面に出したゲーム」の歴史が本格的にスタートしたのは、いまから20年ほど前と考えてください。1989年に「PCエンジン CD-ROM2(シーディー・ロムロム)」というゲーム機が登場。それまでのファミコンソフトのカートリッジとは違い、ソフト媒体としてCD-ROMが採用され、多くの画像や映像が使用できるようになりました。声優たちによるセリフも再生可能になりました。

 これを機に、「女の子のグラフィックやセリフ」に力を入れたソフトが増えていきました。そして1994年に、このジャンル初のビッグヒット! といっていい記念碑的ソフト「ときめきメモリアル」(KONAMI/PCエンジン用ソフト)が登場するのです。

 これは、ゲームの中に様々なタイプの女の子がいて、プレイヤーの行動によって、それらの女の子と仲良くなっていく、というゲーム。スポーツに精を出すとスポーツ好きの女の子と仲良くなれるし、勉強に精を出すと秀才タイプの女の子と仲良くなれる――といった内容です。これは、以降の恋愛シミュレーションゲームの原型となりました。

 しかし、それ以上に大きかったのは、これらの「キャラクターの魅力を前面に出したゲーム」が多く登場するようになったあたりから、ゲームの表現技法に変化が生まれたことです。

 ひとことでいうと、ゲーム内のキャラクターたちが、まっすぐ「画面のこっち側」を見つめるようになったのですね。プレイヤーのことを認識しているかのようにほほ笑み、話しかけてくる。そんな対話式のスタイルで物語が進むゲームが増えて、市民権を得るようになったのです。

 こうして、あたかも「意志を持つキャラクター」がいて、プレイヤーに話しかけている――というスタイルのゲームは増えていきました。

 しかも、映画や小説のように「作者が用意した一本道のストーリー」が展開するのではなく、プレイヤーの行動によってストーリーが変わり、カノジョたちが話してくる内容は変わっていく。そんなゲームが、少しずつ浸透していくことになりました。

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「「ラブプラス」を分析するとゲーム市場が分かる」の著者

野安 ゆきお

野安 ゆきお(のやす・ゆきお)

ゲームジャーナリスト

ファミコン時代からゲーム業界に参加。1000本以上のソフトを体験し、100冊を超えるゲーム攻略本制作に参加している。ゲーム雑誌編集部、編集プロダクションを経て、現在はフリーランスとして活動中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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