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メディア陰謀論を共有する人たち

2012年3月2日(金)

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 今回は、震災後一年の感想を書くつもりだ。
 3月11日に最も近い掲載日を期するなら、タイミングは、次回の方が適切なはずだ。が、来週はどうせ日本中が震災回顧一色になる。であるならば、その前に言うべきことは言っておきたい。埋没したくないということもあるが、原稿の内容について、余計な詮索をされたくないからだ。

 ここで言う「余計な詮索」は、私の側の言い方からすれば「要らぬ心配」ということになる。つまり私は、自分がこれから書く原稿に対して返ってくるであろう反響について、あらかじめ神経質になっているのである。

 実に面倒くさい事態だ。説明しにくい状況でもある。が、このことは、今回の主題とも関連しているので、一応解説しておく。

 思うに、震災以来、わが国の言論状況は、目に見えて不寛容になってきている。私が、「余計な詮索」を恐れるのは、この「不寛容」な空気と無縁ではない。具体的に言うと、私の原稿の内容が、ほかの誰かがどこかで書くかもしれないテキストと重複していた場合に、即座に「パクリ」を指摘するみたいな空気が漂っているということだ。で、私は、そういうふうに言われるのが心外だから、その不愉快な指摘を回避するべく、ひとまわり早いタイミングで原稿を脱稿する決意を固めているわけだ。

 過剰反応かもしれない。
 でも、震災を機に、メディアの記事をチェックする人々の目が不必要に険しくなってきていることはたしかなのだ。

 ふつうに考えれば、たとえば震災について何人かの人間が思うところを書いた場合、内容に似たところがあるのは当然のことだ。なぜなら、マトモな人間の感覚や考えは、多くの部分で重複しているものだからだ。とすれば、誰かと似た原稿を書くことは、書き手にとって、恥じるべきことではない。

 なのに、どういうものなのか、震災以来、一部の読者は著しく不寛容になっている。で、書き手である私は、その不寛容さに反応して、いくぶん神経質になっていて、だから、こういうややこしい前置きを書いている次第なのだ。

 発端はメディア不信にある。

 震災直後に大量配信された情報は、たしかに混乱していた。かなりの部分で誤報や思い込みを含んでもいた。そうした状況からすれば、政府の発表や東電の会見に対して人々が不信の念を抱いたのは当然だし、その彼らの一部がついでに新聞やテレビの報道に対しても疑いの目を向けるようになったことは、むしろ健康な反応だったと言って良いことだ。

 でも、それはそれとして、現在、特にネット上でささやかれているメディア不信の言説に、私がうんざりしていることもまた事実なのである。

 マスメディア発の情報を鵜呑みにしないということころまでは良い。
 複数の情報源をクロスチェックする態度が一般化しつつあることも、基本的には歓迎すべき傾向なのだと思っている。

 でも、一部の人々は、疑うだけでは満足せず、一定の予断を持って情報を読み解きにかかる作業を習慣化している。と、この読み方は、「邪推」を生む。別の言葉で言えば、陰謀論だ。

 さよう。私は、震災以来、陰謀論が大きな力を持ち始めていることに懸念を持っている。

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「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

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「メディア陰謀論を共有する人たち」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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