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情報不足による「不安」を埋める市民放射能測定所

先輩格のフランスNGOから学ぶ

  • 藍原 寛子

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2012年3月28日(水)

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 1986年のソ連のチェルノブイリ原発事故後、食と健康の安全に脅かされたヨーロッパ。原発や核関連施設を多数持つフランスでは、事故から数カ月のうちに、市民放射能測定所が設立された。同事故は4月26日で26年を迎えるが、現在もフランス国内で精力的に活動を展開している2つのNGOがある。フランス南東部・小都市ヴァランスにある「クリラッド」(CRIIRAD、ローランド・ディボーディ理事長)と、西部ノルマンディ地方カーンにある「アクロ」(ACRO、デビッド・ボワイエ代表)。

 両団体のスタッフは、福島での原発事故後にそれぞれ、被災者支援のため来日している。クリラッドは、福島県内で最初に開所した市民放射能測定所「CRMS」(福島市)と連携して、情報提供をしたり、測定方法を市民に普及させるワークショップも開催。アクロは「福島老朽原発を考える会」(フクロウの会)とともに、福島県や岩手県などの子どもの尿に含まれる放射性物質を測定し、その数値を発表するなど、福島の被災者や団体と一緒に現在も活動を続けている。

 現在、日本でも福島県を中心に、全国各地で市民放射能測定所の設立が相次いでいる。福島県内では、福島市、郡山市、いわき市、二本松市、田村市などに開設されたほか、農家のグループ、JAなどでも測定機器を独自に購入して、野菜やコメ、水などの測定を始めている。

 日本で活動を始めた市民放射能測定所の将来の姿を、フランスの2つのNGOに見ることができるのではないか。そこから未来の日本の姿、市民放射能測定所の課題などを知ることができるのではないか。そのような目的から筆者は、3月3日にフランスのクリラッド、8日にアクロの研究室をそれぞれ訪問し、現地での活動の様子を取材した。

「国境を超えて放射能雲は来ない」のウソ

 チェルノブイリ原発事故が起きた当初、フランス政府は放射能雲による放射性物質の降下(フォールアウト)を否定し、「国境を超えて放射能雲は来ない」とアナウンスし続けたという。ところが、「そんなことはない」と考えた科学者や研究者、一般の市民が、国内にある測定器や大学の研究室などを使って測定を始め、放射性物質の降下の事実を突き止めた。これが、フランス国内で始まった市民放射能測定室の活動のきっかけだ。

 「私達が活動を始めたのは1986年の5月ごろ。イタリア、ドイツなど国外の研究グループから、放射能雲の影響が報告されていたが、フランス政府は『チェルノブイリから遠いので、フランス領土には影響がない』と言い続けた。しかし、『フランスよりも遠いイタリアで汚染が確認されているのにおかしい』と思った人々が、牛乳や草などの試料をリヨンの大学に持ち込み、大学教授ら大学関係者が測定したことが、活動の発端だった」

様々な機材で測定を行う様子を説明するシャレイロンさん(クリラッドの研究室)

 クリラッドの測定研究所ディレクター、ブルーノ・シャレイロンさんは、「真実を知りたいと願う市民の思いが、間もなく26年を迎える長期のクリラッドの活動の初心であった」と説明する。その後、同じ思いを共有する物理学者や生物学者、医師、看護師ら科学者の有志、一般市民がクリラッドを設立。政府や行政、企業からは完全に独立した第三者機関として、本格的に活動を開始した。

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