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言葉において機知を示すウイットの道化

笑う[12]

2012年3月29日(木)

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悲劇の構成

 さて『リア王』の第二の道化は、エドガーである。この劇は二つの家庭の悲劇として構成されている。王家であるリアの家庭の悲劇と、式部長官で、リアの次女リーガンの領土を受け継いだ婿のコーンウォル公の領土の伯爵であるグロスター伯の家の悲劇である。

 リアの家庭は、長女のゴリネル、次女のリーガン、三女のコーディリアで構成され、グロスター伯の家庭は、嫡男のエドガーと庶子のエドマンドで構成される。この二つの家の悲劇が、ある意味では逆対照の形で構成されているのは明らかだろう。どちらの家も、父親が子供に裏切られ、殺される。

 そしてどちらの家にも、父親を裏切る子供と、父親を助ける子供という両極を形成する子供たちがいる。またどちらでも悲劇的なことに、父親は自分を裏切る子供を信じ、父を愛し、助けようとする子供を否定し、追放する。

 しかしこの二つの家庭の悲劇のありかたは、きわめて対照的である。リアの家では、父親の勘気をこうむったコーディリアが義絶された後に、ゴネリルとリーガン、とくにリーガンが父親を裏切り、虐待する。リアの家庭では子供たちは女性であり、年長の姉たちが父親を虐待し、末娘が父親を助ける。父親は殺されず、娘のコーディリアが殺される。父親は娘の死をみとる。そしてリアはその死を目撃して心痛のあまり死ぬのである。

 グロスターの家ではエドマンドの陰謀でエドガーが父親から追放された後に、エドマンドが父親を裏切り、父親は盲目にされてさ迷う。この父親を助けようとするのが、追放されたエドガーである。グロスターの家庭では子供たちは男性であり、年少の弟が父親を裏切り、兄が父親を助ける。父親は殺されるが、息子のエドガーは殺されない。息子が父親の死をみとる。そして息子はこれから王国を担うことになるのかもしれない。

佯狂の道化

 エドガーは国外追放の処分をうけているため、国内にいることを発見されると命がないので、狂人のふりをしている。その意味ではエドガーは、騎士道を信じているふりをしていた佯狂のドン・キホーテと同じように、佯狂の道化だと言えるだろう。

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「言葉において機知を示すウイットの道化」の著者

中山 元

中山 元(なかやま・げん)

哲学者、翻訳家。

1949年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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