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Vol.58 指先から星までの距離、17音でどう表す?

読み手に「意味」を追わせるのはNG

  • 千野 帽子,堀本 裕樹

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2012年4月13日(金)

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 首都圏は、桜の開花状況に一喜一憂する一週間となりましたね。海外では、日本の桜のことは知っていても、年中咲いているものだと思っている方が多いらしいです。そんな短い一週間のために、「花の雨」「花冷え」「花吹雪」「花屑」「花埃」「花疲」などたくさんの季語があるのも何だか贅沢ですねー。

 さて今週はおひさしぶりの堀やん先生です!

連載管理人A(以下A):堀やん先生おひさしぶりです!

堀本裕樹(以下堀):選句物語も1カ月ぶりですねぇ。

A:『十七音の海』が出版されるなどしてお忙しかったのでは?

:今年は近所に今まで知らなかったしだれ桜を見つけて、ほうと息を呑みました。

 回り道にある畑の隅に咲いていたしだれ桜なのですが、染井吉野よりも少し濃い色をした花で、あまり人には見られないであろう場所に静かに咲いている姿に、買い物袋を片手に提げたまましばし見取れました。

A:一本だけぽつんとある木なのですね。

:このしだれ桜を見たとき、

まさをなる空よりしだれざくらかな

富安風生

の一句が、自然に口をついて出てきました。

 そのしだれ桜は、空をバックにしてしだれていました。もう夕空に近かったのですが、空をしたがえたしだれ桜は、幽玄と何かを語りかけてくるようでした。

 有名な桜や壮観な桜並木もいいですが、日に数人の眼に触れるかどうかという無名の桜もいいものですね。

A:独り占めしてる感じがいいですよね。では今回は、この句からお願いします。

波波波波波波波波波鯨波波波波波

 全部漢字です。どう読むのでしょうねぇ。

:この句をよく読んでいくと、「波」の字の並ぶなかに、冬の季語である「鯨」の1字が紛れ込んでいることに気づきますね。

 正確にいうと「波」9字、「鯨」1字、「波」5字。音数でいうと、18音+3音+10音=31音 です。全部で31音?! ということは短歌なのか? と思ってしまいますが、どうなんでしょうね。俳句らしくするなら、もっと「波」の字を減らさないといけないようにも思います。一句の調べをもっと整えたいですね。

A:「なみなみなみなみ…」と読むのですね。読まなくても目で見て意味がわかるというのは漢字ならではですね。

:しかし、この句は音数にこだわる前に、ちょっと字づらだけで遊びすぎたかなという印象です。「読む」というより、字づらを追っていって、ああ「波」のなかに「鯨」が紛れているんだという「気づき」が中心になっていますよね。

 作者の意図としては、「波」のなかで泳いでいる「鯨」を字づらで表現したのでしょう。しかし、字づらそのものが、「海に鯨は棲んでいますよ」という説明になっているので、それ以上の想像の膨らみを読み手に促さないのですね。試みは面白いのですが、そこが惜しいところです。

A:「鯱(しゃち)」でもいいような気もしましたが、「鯨」は冬の季語なんですね。

(次ページに続く!)

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