• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

月曜日の朝、東の空を見上げよう

2012年5月18日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 金環日食の日が近づいている。
 徐々に緊張が高まってきている。

 わがことながら不思議なのだが、私はどうやら日食を心待ちにしているようなのだ。
 当日は、晴れてほしいと思っている。
 もし東京が晴れない予報だったら、前日泊で、どこか太陽が出そうな場所に宿を確保すべきだろうか、と、真剣にそう考えはじめてもいる。
 とはいえ、予報は直前にならないとわからない。私は、どうすれば良いのだろう。やはりダメ元で宿泊先を押さえておくべきなのだろうか。

 書店の店頭に日食グラスの販売コーナーが設置されはじめたのは、2カ月ほど前からのことだ。
 この段階では、あまり心を動かされなかった。
「日食とか、どうせ電通が仕掛けたステマだよ」
 その種のデマをツイッターに流すことこそしなかったが、基本的には冷淡に構えていた。

 無論、このたびの日食が、歴史上稀有なジャストミートであることは知っていた。生きている間に見る、おそらく最後の日食であろうことも自覚している。それでもなお、私はそんなにわくわくしなかった。

 去年の夏、日食の情報をもたらしたM島が、必要以上に興奮していたからかもしれない。

「おい、金環食が来るぞ」
「なんだそれ?」
「だから、日食だよ。それのど真ん中の一番すごいところが東京の真上を通るんだ。こんな機会は千年に一度だぞ。わかってるのか?」

 私は、たいしてときめかなかった。

「10分かそこら太陽が隠れるってだけの話だろ」

 おまえは何を騒いでいるんだ?
 私は冷静に対応した。

 M島は天文部の出身だ。中学生の時にジャコビニ流星群を観測をするために白馬岳に登って遭難しかけている。そういう男だ。前回の日食(2009年)でも、息子を連れて上海まで見物に行っている。で、曇っていて何も見えなかったらしい。
 一事が万事このとおりだ。
 流星群だとか、彗星だとか、月食だとか、こいつが折にふれて持ち込んでくる天文ネタは、いつも空振りに終わる。

「雲しか見えなかったぞ」
「流星群っていうからどんだけ星が降るのかと思ったら、15分も見上げててたったの3つじゃないか」

 そんなわけで、M島発の天文情報に対しては、一蹴するクセがついていたのかもしれない。
 でなくても、天文部は、われわれの世代の感覚では、どちらかといえば恥に属する出自だ。

コメント37

「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

一覧

「月曜日の朝、東の空を見上げよう」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

韓国がダメでも、日本なら技術を見る「目」が投資家にあるはずだ。

崔 元根 ダブル・スコープ社長